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うん、これだね

投稿日時:2009/09/11(金) 09:00rss

「店がブランドになる」ことを支援・プロデュースしているクエストリーの櫻田です。

ずいぶん以前のことですが、あるブティックで社会人になる女性が
初出勤のスーツを購入するところを撮影した映像を観ました。

購入条件はデザイン、価格、着やすさなど様々ですが、接客した女性スタッは、
どんな会社なの?、お仕事の内容は?、会社の雰囲気は?、通勤方法は?、通勤時間は?
そんな質問をさりげなく繰り返します。

そして、お客様の答えを確認しながら、いくつかの商品を提示し、絞り込んでいきます。

姿見の前でひとつずつスーツを当ててみるお客様、
後ろに回りいっしょに鏡を見ながら雰囲気を確認する販売員。
そして、最後に二人が笑顔でうなずきながら、口をそろえていったのが
「うん、これだね」という言葉でした。

お客様がご来店し、商品をご覧になり、お買い上げいただく。
代金をいただき、「ありがとうございました」と声をかけてお見送りをする。
これで商売は終了でした。

しかし、いまはこの基本の接客の流れに加えなければならないことがあります。
お客様が使う場面を想定したシナリオです。
お客様の目的は購入することではなく、購入した品を使うことです。

店にとっての終わりは、お客様にとっては始まりです。

これまで店は使い方や使う場面は、
店はあまり関心を寄せなくても済んだのですが、そうはいかなくなりました。

なぜならば、商品そのものでの差別化が難しくなってきたからです。
割安感だけでは満足しないからです。売ることで終了していたご商売に、
使うことのアドバイスや情報を加えなくては、
似たようなものがあるからいいかあ、ということになってしまうのです。

しかも、お仕着せの情報や一方通行のアドバイスでは嫌がられるだけです。
「わかってないなあ」というお客様の本音に鈍感なお店は支持されません。

「お似合いですよ」とお客様に声をかけた販売員が、
「どこが?」と質問されて立ち往生している場面に出くわしたことがあります。
ご本人が使うと思っていたのに、実は贈り物だったという、
笑えないような話も販売の現場にはたくさんあります。

店は販売のプロかもしれませんが、お客様は使い方のプロです。しかも相当手ごわいプロです。

ていねいに、お客様の声に耳を傾け、仕草を観察し、
気持ちを感じ取れる販売スタッフでなければ売れません。
接客のプロには、語る能力よりも、聴いたり、感じ取る能力の方が要求されているのです。

これまでの引き出しに「使う」という新鮮な情報が詰まった引き出しを加えることです。

これがお客様を「買い手」と見ることから、「使い手」と見ることへの視点転換のひとつです。


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クエストリーのメンバーのブログです

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コメント


同感です。

櫻田社長様
おはようございます。全く同感です。以前友人からPCも売った時点ではただの鉄の箱で、問題は買った人はそこから始まるという視点を持たないといけない、とセミナーで聞いたよ、という話に
激しく同意しました。「シーン」を連想できる人、物語れる人が若い人に少ないような気もするのですが。(もちろんオジサンでもっとひどい人も多いですがね)。

Posted by 横山国男 at 2009/09/11 10:04:00 PASS:

ありがとうございます

横山社長、コメントをありがとうございます。
買う選択肢が圧倒的に増えているなか、モノを買わない消費者が増えています。
モノを買わない時代の先にあるのは何かなあということを最近考えます。
豊かさの見直しということでしょうが、価値のある消費は文化を創り、充実させると思っています。若い人たちが物語を語れないことの要因は、豊かで価値ある消費の経験が不足していることかもしれません。

Posted by 櫻田弘文 at 2009/09/11 10:55:00 PASS:
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会社概要

(株)クエストリーは2003年に「店がブランドになる」ことを支援・プロデュースするために設立されました。「店がブランドになる」ためのプロセスをわかりやすく整理し、具体的な成果につながるコンサルティング、プロデュース、クリエイティブを展開しています。代表取締役の櫻田弘文は、これまでに300社以上...

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個人プロフィール

1955年生まれ、自然豊かな山梨県南アルプス市で育つ。高校卒業後、大学に進むが、学業には目を向けず、芝居に夢中になる日々を過ごす。大学卒業後、広告・マーケティング会社に入社。5年区切りで、コピーライティング、広告プランニング、マーケティング、店舗開発、マネージメント指導などの業務を経験する。2...

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