㈱クエストリー 社長 櫻田弘文「ブランディング」通信 | 経営者会報 (社長ブログ)
「店がブランドになる」ことを支援・プロデュース! コンサルティング会社・社長のジャム・セッション
2011年10月24日(月)更新
変化しないことが一番リスクの大きい選択です。
自分の立っている岸辺が変化と言う急流にどんどん削り取られています。その岸辺に3人の人がいました。
一人は意を決して流れの中に入っていきました。二人目はみんなが渡るまで待とうとしています。
三人目はまだ大丈夫だと言っていまのところに留まっています。
英国の首相を務めたウィンストン・チャーチルは“過去にこだわるものは、未来を失う”と語っています。
日産とルノーのCEOのカルロス・ゴーン氏は
“日産にきて一番驚いたことは、家が火事で燃えているのに誰も何もしないで座っていることだ”と言っています。
“適者生存の原理で生き残った者は、
最も強い者でなく最も賢い者でもなく、最も変化に敏感に反応した者である”、
進化論の提唱者として知られるチャールズ・ダーウィンの言葉と言われますが、実は違うようです。
誰の言葉かは別として、その意味するところは重要です。
“変化”することの大事さを頭ではわかっていても身体は現状維持を望みます。
なぜなのでしょうか?それは慣れ親しんだ現状の方が楽だからです。
現場を見ますと、変化といいながらあれやこれやと言い訳を付けて、先送りをしている事例がたくさん目につきます。
パラダイムが根本から変わりつつあるいま、何が正解で何が不正解かなど事前にわかるはずがありません。
やってダメだったらやり直せばいいじゃあないかというくらいでなければ、何も出来ません。
現状の温かさに甘えて動かないことの方がはるかに危険です。
地方の小規模な信用金庫のひとつだった長崎県民信用金庫の生き残りをかけた取り組みをまとめた
“異常が正常”(高津成志著、ビーケーシー発行)という本があります。
この中では“捨てることが戦略”と繰り返し書かれています。まさに変化ということを実感します。
トップが現状を肯定した時から、その会社の老化は始まると言われます。
ある意味では現状維持は後退と同義語、優れた経営者は絶えざる現状否定論者です。
とはいっても、悲観的に物事を考えるのも良くありません。変化を歓迎し、受け入れる気持ちが大事ですね。
ところで、冒頭の流れが急になった川の話ですが、大事なのは削り取られつつある岸辺から向こう岸に渡ることです。
ある経営者は「川を渡るのではなく、橋を掛けるという発想も大事だな」と語っていました。
こう言うことを考えると楽しくなってきませんか。
2011年10月21日(金)更新
変化を作り出していく側に回る
つくづく本当に変化の時代だと思います。
変化とは、いままで通用したものが通用しなくなるということ。
しかし、これだけ変化が早いと、変化を読むことなんて出来ませんね。
変化したなあと思うのは、結果を見てからのこと、この時点ではすでに遅れています。
どうせ読み切れないのであれば、変化の後追いをするのではなく、
変化を創り出していく方に回りましょう。
変化とは動いた結果からわかること。
いままでとは違うことをやってみなければわかりません。
いいか、悪いかは、やった結果から判断するしかないのです。
今日の解が、明日も通用するという保証がまったくない時代です。
ならば、確証などなくても変えてみることの方がはるかに大事です。
やってみなければわかりません。やってみてダメだったら、
違う方向に向かえばいいだけのことですから。
ブランディングのプロセスでは
“ウチには向いていない、無理!”という言葉をよく聞きます。
この言葉を聞くと、“この程度の取り組みで無理かどうかどうしてわかるんだろう。
とことんやってから言って欲しい”、本当にそう思えてなりません。
向いていないとか、無理と言う言葉の裏側にあるのは、しんどくてやりたくないということ。
こういう方に限って、“昔の方がよかったとか、これまでのやり方がいい”といいます。
なんとかしたくて、新しいことに取り組んでいるにもかかわらずです。
成功なんちゃらのセミナーや本には、簡単にうまくいきそうな話がごろごろしています。
ただし、万人向きのものはありませんよ。
苦しくても、大変でも、自分流のやり方を作っていくしかないのです。
そのためには、やってみなければ、わからないのです。
大きな変化でなくてもいいと思います。小さな変化を次々と起こしましょう。
変化を起こすためには動くこと。
淀んだ水は必ず腐るように、じっとしていても状況は変わりません。
現場に足を運び、元気のいい現実を注視し、消費者起点で考えることです。
2011年10月11日(火)更新
「顧客価値」を持った言葉の力
前々回は「違い」について、そして前回は「顧客価値」について書きました。
「違い」をいくら訴えても、それが顧客にとって価値があるものでなければ伝わらないという話でした。
長年広告界で活躍している鈴木康之さんと言うコピーライターがいます。
数多くの広告賞を受賞されていますが、コピー作法書も書かれており、若い時に随分と読みました。
その中の1冊に「名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方」があります。
その“はじめに”に書かれている一文が「違い」と「顧客価値」のご参考になるのでご紹介いたします。
フランスの詩人アンドレ・ブルトンがニューヨークに住んでいたとき、
いつも通る街角に一人の黒メガネの物乞いがいました。
首に下げた札には「I am blind.:私は目が見えません」と書いてありました。
彼の前には施し用のアルミのお椀が置いてあるのですが、
通行人はみんな素通り、お椀にコインはいつもほとんど入っていません。
ある日、ブルトンはその下げ札の言葉を変えてみたらどうか、と話しかけました。
物乞いは「旦那のご随意に」と答えました。
ブルトンは「I am blind.」と言う文字を、新しい言葉に書き換えました。
それからしばらく過ぎるころ、その浮浪者は異変に気がつきました。
言葉を書き換えてからというもの、お椀にコインの雨が降りそそぎ、
通行人たちは同情の言葉をかけていくようになりました。
物乞いにもコインの音や優しい声が聞こえます。
数日後、物乞いはブルトンに「旦那、なんと書いてくださったのですか」と尋ねました。
下げ札にはこう書いてあったそうです。
「Spring's coming soon.But I can't see it.:春はまもなくやってきます。でも、私はそれを見ることができません。」
誰が見てもうらぶれた物乞いです。黒メガネをかけているのだから盲人であることも分かります。
「私は目が見えません」は違いを伝えるだけで、人々の心にはなにも響きません。
アンドレ・ブルトンが書き換えた言葉には、物乞いの前を通る人たちに訴える力があります。
憐れみを乞う力があり、人に行動を促す力があります。
ちょっと品のない言い方かもしれませんが、集金能力のある言葉です。
読んでもらって、施しの気持ちを起こさせ、施しをいただく、つまり「顧客価値」を感じさせる言葉です。
2011年10月03日(月)更新
見つけた違いを「顧客価値」に変換する
前回は「違い」がなければ選ばれませんと言うことを書きました。
たくさんの中からあなたが選ばれるには、「選ばれる理由」が必要です。
「選ばれる理由」とは何でしょうか?それは「違い」です。
この違いを育てることが「選ばれる理由」につながります。
どこにでもあるような商品を、どこにでもあるような店舗で、
どこにでもあるような売り方ならば、残念ながらあなたは選ばれません。
そんなことを書かせていただきました。
「違い」探しの4つのポイントと「違い」を見つける7つの着眼点もご紹介しました。
※詳しくはこちら→http://www.accessmail.jp/public/bnz.php3?pk=MDUqBZY&bc=FFFF66
ところがここで勘違いが起きます。見つけた「違い」をお客様にストレートに伝えてしまうのですね。
“当店は創業150年の歴史があります”、“地元で一番の店舗面積を持っています”………こんな感じですね。
ところが多くのお客様の反応は冷ややか。
歴史が古かろうが、店舗面積が広かろうが、自分にとって関係なければ、
“だからどうした!”と言うことです。
残念ながらあなたの投げたボールをお客様は受け取ろうとしないのです。
一生懸命に努力しているのにお客様に支持されないのは多くのこのパターンです。
僕もあなたもそうでしょうが、自分に関係のないものには関心を示しません。
ましてやそれに売り込みの匂いがすると、本能的に避けようとします。
そうです、相手にもしかして自分のことだなと思ってもらうには、ただ“違い”を伝えるだけではだめなのです。
大事なのは、“違い”を目指すべきお客様の価値に変えることです。これを「顧客価値への変換」と言います。でもこれって頭でわかっていても、実際にはなかなか出来ないんですね。やっぱり売り手側から見た違いしか伝えられていないことが少なくありません。
とくにモノを作る立場の方は、いいモノを作れば支持されるはず、
売れるに違いないと言う思い込みがあります。
しかし、これは誤り。顧客の価値に変換されてはじめていいものになるのです。
もちろん、モノそのものが一定の水準以上であることは言うまでもありません。
私たちは、モノの価値を顧客の価値に変換するシナリオを、
消費のジャンルを変える「ローリング」と
ライフスタイルに組み込む「リフトアップ」と言うふたつの仕組みで考えます。
いま世の中で支持されている商品やサービスは、このふたつをうまく取り込んでいます。
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