㈱クエストリー 社長 櫻田弘文「ブランディング」通信 | 経営者会報 (社長ブログ)
「店がブランドになる」ことを支援・プロデュース! コンサルティング会社・社長のジャム・セッション
2011年12月31日(土)更新
2011年の最後に思うこと
正直な気持ち、今年ほど大変な年はなかったと思います。
大変と感じる最大の理由は、やはり3月11日に起きた東日本大震災と大津波、
そして続いて発生した福島原発の事故です。
発表によりますと、12月15日時点で、地震・津波による死者は1万5842人で、
警察に届け出があった行方不明者はいまだ3481人です。
実際に被災したり、原発による直接的な被害を受けた方々にとっては、
“大変”と言う言葉では言い尽くせない出来事だったと思います。
とくに先行きが見えない原発事故の恐ろしさは、
日本人が初めて経験する出来事であり、放射能の実態が目に見えず、
しかも長い年月を経て影響が現れると言われるだけに、その恐ろしさがひしひしと感じられます。
事故のツケを未来まで背負わなくてはなりません。
3月11日以降、多くの方々が絶望の極に立たされ、強い喪失感を覚えたのではないでしょうか。
実際に僕自身も仕事を続けながら、こんなことをやっていていいのだろうか、
何か出来ることがあるのでは、と言う焦りにも似た気持ちに追い込まれたのも事実です。
しかし、その絶望感、喪失感、焦燥感の中で、
何か大きなものが変わる時期に来ていると感じるようになりました。
それは、恐れおののくものではなく、幸せな未来を作るための変化の様な気がします。
もちろん、被災した人たちがその礎と言うことではありません。
大きな変化とは何でしょうか。
それは、一人ひとり(会社も含めて)が自分の利益や得だけを目指して生きるのではなく、
誰かのために、世の中のために、何が出来るのかを考え、行動することへの変化です。
そう思わなければ多くの尊い命が失われた意味がありません。
ところで、思うところがあり、この夏頃から毎朝“Facebook”に季節の草花の写真をアップしています。
そのせいか自然と草花に目が行くようになりました。
普段何気なく見ている名前も知らない草花でもよく見ると、何とも言えない美しさを持っています。
人間の手によって丹念に育てられた花やフラワーショップで売っている花も美しいのですが、
路傍の草花にも何とも言えない気品があり、それぞれの役割があるように思えてきたのです。
名もない花の一輪一輪、私たち一人ひとり、1社1社、1店1店には
独自の価値と果たすべき役割があります。
それを自らの手で見つけて、果たすべき役割をいかんなく発揮することが、
いままで以上に強く求められる時代がやってきているように強く感じます。
売上・利益が大きい、店舗数が多い、社員がたくさんいると言ったことだけが、
価値の尺度ではなくなってきているのです。
クエストリーの経営理念は「QUEST×STORY」です。
「私は人生の主人公、私自身を探索し、私にしか出来ないシナリオを作り、
私ならではのブランドを築き上げる」と続きます。
クエストリーのメンバーは必ずそうで会って欲しいと言う思いで明文化したものです。
もちろん、一人ひとりが素晴らしい人生を歩んでいくための「QUEST×STORY」ですが、
そのためには、世の中のために「自分自身を探索し、
自分にしか出来ないシナリオを作る」ことだとあらためて思います。
自分だけの利益、幸せ、豊かさの追求はむなしいだけです。
来るべき2012年がどんな年になるのかは誰もわかりません。
まったく予想もしないことも起きるかもしれません。
しかし、どんな年にするのかは、一人ひとりの志しにかかっています。
2012年が皆様にとって光り輝く素晴らしい年になりますことを心から願っております。
※今回のブログは、滅多にないことですが、
有料のメルマガ「ブランディングレポート」のメッセージをそのまま掲載いたしました。
購読者の皆様、どうかご了承ください。
2011年12月27日(火)更新
置き換えることで、新しい価値が生まれる
先日、ロボット同士がボクシングで戦う「リアル・スティール」を観ました。
お子様向けと感じるかもしれませんが、
ところがどっこい、めちゃくちゃおもしろくて最初から最後まで楽しめました。
http://disney-studio.jp/movies/realsteel/
ボクシングを題材にした映画は結構あります。
父と息子の代表格とも言える「チャンプ」、無名の新人がチャンピオンになる「ロッキー」、
実在のプロボクサーを描いた「レイジングブル」などが思い出されます。
「ミリオンダラー・ベイビー」と言う女性ボクサーの映画もありました。
共通しているのは、絶対的に不利と思える敵との闘い。どう見ても敵う訳がないのですが、
何かやってくれるのではと思わせるのがおもしろさの裏付けになっています。
弱小チームが相手を打ち負かすと言えば、
「がんばれベア―ズ」と言うベースボールの映画もありましたね。
ロポット同士の対決で思い出すのは、「トランスフォーマー」。
迫力ある映像は映画の常識を超えています。
そうそう「アイアンマン」と言う映画もありましたね。
大ヒットした「ターミネーター」もロボット映画と言えばそうかもしれません。
ところで、「リアル・スティール」は、
“父と息子”“ボクシング”“勝ち目のない強敵”といった
ヒットの要素を巧みに取り入れています。
もう王道といえば完璧に王道です。
型にはまった展開と言ってしまえばその通りなのですが、ヒットのセオリーは大事です。
しかも、それを「トランスフォーマー」や「アイアンマン」などの話題作に習い、
ロボットの世界に置き換えたところがこの映画の素晴らしいところ。
人間が主役でしたら、やはり二番煎じに終わってしまいがちです。
置き換えは新しい価値を作り出すポイントですね。
新しい価値を生み出すために、消費のジャンルを変える
「ローリング」と言うことを時々セミナーなどで話をします。
「リアル・スティール」もヒットのセオリーを踏まえて、
ジャンルを上手に「ローリング」させています。
と言うことで、こんなややこしい理屈は抜きで、
ぜひ「リアル・スティール」を楽しんでください。
2011年12月19日(月)更新
ブランディングの3点セットとは?
ある経営者の方と話をしていて「ミッションが大事なのはわかるけど、
それで業績が良くなるのか」という話になりました。
たたき上げの創業社長の言葉だけになかなか迫力があります。
どうも「ミッション」をふわふわした空理空論のように感じているようです。
「ミッション」は経営の軸をなすものであり、社会のなかで果たすべき役割の様なものです。
なぜ事業をするのか、何のために会社があるのかを整理し、明文化したものですね。
まあ、ざっくり言うと経営の方向性と言ってもいいかもしれません。
ところで、冒頭の経営の方への返答ですが、
「そりゃあミッションさえあれば業績バンバンと言うほど世の中は甘くはないですよ」。
するとその方はすごくうれしそうな顔をされ、
「そうだよなあ、でもミッションは大事だよ、問題はそれをどうするかだな」さすがです。
その後、語りあったのは、「ミッション(方向)」を具現化する
「仕組み」とそれを実行する「日々の努力」がなければ、
「ミッション」だけではお題目になってしまうと言うこと。
これで話が一致しました。よっしゃあ、といった感じでしたね。
「仕組み」とはミッションを実現するための“条件”です。
この条件づくりがうまくいかないと、「ミッション」は現場に伝わりません。
ブランディングプロジェクトでもこの条件づくりに相当の時間を掛けます。
言い換えれば、“条件”とはミッションを実現するための根拠。
どうやれば、どういう結果が出て、それがミッションの実現にどうつながるかと言うことです。
根拠のないものには人は動かされませんよね。
とくにいまの若者は、四の五の言わずに、とにかくやってみろでは力が入りません。
「仕組み」は現場で「日々の努力」として活かされて初めて機能します。
その「日々の努力」を成果につなげるには、“段取り”と実行が必要。
伸びている会社は基本業務の段取りと実行が実によく出来ています。
ある意味ではいい習慣が身についているんですね。
今日のまとめ。「ミッション」を掲げていても業績に跳ね返ってこない理由は、
「仕組み」「日々の努力」がセットになっていないからです。
まあ、その前に「ミッション」そのものに魂が込められていなければ、
どうやっても無理ですけどね。
2011年12月16日(金)更新
お給料は誰からいただくもの?
年末は忘年会などの集まりが多い時期ですね。いろいろなお店を利用することも多いと思います。
そんな時にいつも感じるのは、お店のスタッフは大事なコンタクトポイントです。
スタッフの対応いかんによってお店の印象ががらりと変わります。
本気でお客様のために仕事をしているスタッフもいれば、
お給料をもらうための仕事だからというスタッフもいます。
同じような仕事をしていてもお客様に伝わるものはまったく違ってきます。
料理の味さえ違うように感じるさえもあります。
たぶんアルバイトだと思うのですが、
あるお店で仕事の合間に携帯電話をチェックしているのを見たことがあります。
お店の先輩や上司はいっこうに注意をしません。
手が空くたびにチェックしているので、よほど大事な連絡でもあるのかと思ってしまいました。
“背中に目が付いているんですよ”、これはあるお店のスタッフが笑いながら言った言葉です。
この女性スタッフは実にお客様の動きを観ています。
本当に背中に目が付いているんじゃないのかと思うくらい、こちらがして欲しいことをキャッチしてくれます。
経験の差と言えばその通りかもしれませんが、
違いの源にあるのは、“自分たちの給料はお客様からいただいている”ことの理解です。
お給料は会社からもらうのではなく、お客様から頂戴すると言うことです。
それで洋服も買えて、食事も出来るのです。
仕事のやり方や手順を教える前に、このことをスタッフにきちんと伝えるのが本当に教育です。
店が混んでくると、行きとどかないことも出てきます。
でも、このことをしっかりと浸透していれば、お客様の役に立ちたいと言う気持ちは自然と伝わります。
“いまは大変そうだから頼むのはちょっと後にしよう”と言うことさえ起きてきます。
お給料のために働いているスタッフなのか、お客様のために働いているスタッフなのか、
その違いって簡単にわかってしまうものですよ。
2011年12月05日(月)更新
すべてをミッションの伝道ツールに変える
「ミッション」とは、ウチの会社はなぜ社会に存在するのかと言うことに対する答えです。
もっとわかりやすく言うと、「選ばれる理由」のこと。
同質化競争とは決別し、自社ならではの価値で支持される仕組みを作るためには、「ミッション」が不可欠ですね。
あるお店でこんな声を聞きました。「近くの店で売っているけど、あなたから買いたいから
少々高くてもいいので仕入れて欲しい」………ファンの力、恐るべし。この力を侮る会社は伸びません。
そして、ファンの力の源にあるのは、「ミッション」への強い共感です。
反対にこんな怖い声も聞きました。「どんなにいいものでも、あの会社が作っているのなら買わない」。
作っている会社や販売しているお店の経営姿勢も実は品質の一部なのです。
インターネットのレビューをチェックしてから購入を決定する人は少なくありませんよ。
でも「ミッション」って、社員にもなかなか浸透しないのに、
消費者に伝えるのって難しいし、あらためて印刷物を作るのはもったいない。
そんな声が聞こえてきそうですが、いま大事なことは「ミッション」を通常使っているツールや印刷物に盛り込むことです。
以前、このメルマガで書いたことがありますが、「鳩サブレー」ってご存知ですか?
鎌倉の豊島屋さんという会社で製造販売しているお菓子です。
ネーミング通り、子供の手のひらくらいの鳩の形をしたサブレです。関東ではかなり知られたお菓子で、とってもおいしい。
鎌倉の味 鳩サブレー 豊島屋 http://www.hato.co.jp/
この「鳩サブレー」の缶に「鳩のつぶやき」という二つ折りの小さなパンフレットが入っています。
そこには、鳩サブレーの誕生の背景、ネーミングの由来、売れなかったころの苦労、
関東大震災や第2次世界大戦時の苦難などがイラスト入りでまとめられています。
この小さなパンフレットは、まさに豊島屋さんの「ミッション」の伝達ツールです。
ちなみに、豊島屋さんの男性スタッフのネクタイは鳩柄、女性スタッフの制服にも鳩の刺繍模様が入っています。
お店に行く機会がありましたら、こっそりと眺めてみてくださいね。
2011年12月03日(土)更新
「第25回ブランディングセミナー」開催決定!
今日のブログは弊社の岡本マネージャーのブログをそのまま転用させてもらいます。
オリジナルはこちらから→岡本亮二「走る!ブランディングマン」
http://wakuwakuman.blog90.fc2.com/blog-entry-148.html
今日、社内のメンバーと3月7日(水)に開催が決定した
「第25回ブランディングセミナー」の打ち合わせをしました。
どんなテーマで、何を伝えるのか!
参加される方たちへ何が有益な情報になるのか!
この点について論議しました。
これまでのセミナーのテーマを振り返ってみても
・第24回 「楽しくなければブランドじゃない!」 (2011.8)
・第23回 「絆がブランドを強くする」 (2011.3)
・第22回 「あなたの会社の眠っている価値を掘り起こせ!」(2010.8)
・第21回 「生き残るブランド力」(2010.2)
・第20回 「ブランドの「スタイル」は人がつくる」(2019.11)
・第19回 「“物語”がお店のブランドを強くする」(2019.8)
・第18回 「“価値”がお店のブランドを強くする」(2019.2)
と、中小企業が光り輝くブランドになるための
経営のシナリオを本質から伝えてきました。
また、特別講演に登場していただいた講師陣たちのお話は
本当に素晴らしかったです。
いま思い出してもワクワクします。
自社ならではの独自性を発揮し、ファンに愛されるブランドづくりを実践され、
いまを生き残る経営のヒントがたくさんありました。
【過去の講師陣】
・小杉光司氏(COSUCOJI 代表)
・佐藤啓二氏(主婦の店「さいち」 代表取締役)
・渡辺英彦氏(富士宮学会 会長)
・葉葺正幸氏(株式会社 和僑商店 代表取締役)
・赤堀正俊氏(Pen boutique書斎館 オーナー)
・瀧勝巳氏(メイド・イン・ジャパン・プロジェクト株式会社)
・久米信行氏(久米繊維工業株式会社 代表取締役)
次回の「第25回ブランディングセミナー」でも
これまで以上に参加者の方々がワクワク、やる気のでるセミナーを目指します!
もちろん、私も講演します(笑)
詳しい内容は、決まり次第随時お伝えしますね!
乞うご期待!
2011年12月02日(金)更新
作り上手の伝え下手
今週の月曜日に、「フードスタジアム」主催の経営戦略セミナーで、
ブランディングのことを話す機会をいただきました。
参加者の多くは飲食業界の方々。レストランや飲食店を経営されている方や、
そこにお酒や食材を納めている会社、マスメディア関係の方々だったたようです。
フードスタジアム:http://food-stadium.com/
第1講座を担当し、ブランドとは何か、ブランド価値の見つけ方、探し方ついて話しました。
第2講座は、カンブリア宮殿でも取り上げられた「APカンパニー」の
米山順子さん(取締役企画本部長)、野本良平さん(取締役副社長)とごいっしょのパネルディスカッションでした。
APカンパニー:http://www.apcompany.jp/
パネルディスカッションってこれまで何度もやりましたが、結構難しい。
しかし、今回は、米山さん、野本さんの経営に対する考えが
極めて明快でしたので、すごくやりやすかったですね。
ミッションと仕組みをきちんと整合性を取って進めている見事な経営です。
第3講座は、ワインの伝道師(個人的にそう呼ばせていただきます)の
ヴィノシティの藤森真さんのワインを取り巻く状況についての講演でした。
神田で2店舗のお店を経営されている藤森さんはとにかく熱い人、ワインに対する志しがはっきりとしています。
ヴィノシティ:http://www.societe-charpente.com/vinosity/
セミナーを通じてたくさんの気づきがありましたが、そのひとつが「作り上手の伝え下手」ということです。
各地には地域の特性を生かした商品や食材をまじめに一生懸命作ったり、収穫している人たちがいます。
また、それを使って料理を作る人たちがいます。
しかし、残念なことに作ることにはプロなのですが、
それをどう伝え、販売するかという視点が不足していることが少なくなりません。
おいしいものを作れば支持してくれるはず、いいものを作れば買ってくれるはず………でもこれって錯覚だと思います。
食に関するビジネスの難しさは“おいしさ”は主観だということです。
同じものを食べても人によって異なりますし、その時の状況にもよって違ってきます。
この異なる“おいしさ”を伝えるためには“おいしさの方向性”を示し、理解してもらうことがとても大事。
「当店はこういうものを“おいしい”とする」という軸を明確にすると言うことです。
「APカンパニー」さん、「ヴィノシティ」さんは、この軸がはっきりとしていて、ぶれない強さを持っています。
膨大な情報が氾濫している中では、どんなにおいしいものでも伝わらなければ価値がないのと同じです。
食に限らずですが、商品の素晴らしさが100あるとしても、
お客様に20しか伝わらなければ、その商品は20の価値しかもっていないのと同じです。
作り手は100だと思っても、受け手に20しかおいしさが伝わらなければ“おいしくないよね”と言うことになります。
自分たちが考える100のおいしさをどう伝えるかが、その店の独自性になりますね。
伝わらなければ、自店ならではの強みや他との違いは生み出せません。
でも、難しく考えることはありませんよ。
おいしいということの「価値のタネ」は意外と身近に眠っています。
“どこが他と違うおいしさなのか”“どんな風においしいのか”“おいしい理由は何か………
真剣に自問自答し、明文化することにより、伝えるべきことが見えてきます。
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