大きくする 標準 小さくする

2012年09月29日(土)更新

小事は大事

「人々が幸せになるブランド」をプロデュースしているクエストリーの櫻田です。
 
つくづく思うのですが、ブランディングは「組織改革」です。

そして、組織改革は商品や店舗や営業でもなく、最終的には「人材」の活性化に尽きますね。
 
「ブランディング=組織改革」のすべての源は「人材にある」といっても過言ではありません。

なぜならば社員が自分の仕事に自信を持てば、
信じられないような力を発揮することを経験しているからです。
 
「組織改革」「人材の活性化」というと仰々しく聞こえるかもしれませんが、
ポイントは小さなことを大事にする社風を育てることです。

「神は細部に宿る」とはよくいったものです。
 
とくに小売店や飲食店は一時が万事。
小さなことを見逃していると、必ず悪い方に転がっていきます。
小さなことの積み重ねが悪いほうに働くと、とんでもないことになるのです。

蟻の小さな穴からダムも崩壊するっていいますものね。
 
あなたも経験がありませんか、「これくらいはいいかな」と見逃していると
とんでもない大事につながることがあるのです。

「まあ、いいや」は絶対にダメなのです。
 
お互いに傷つけあうのを恐れ、
「いいよ、いいよ」ですませているうちに仕事はどんどん慣れ合いになり、
結果的にはだれも責任をとらない腑抜けの組織になっていくのです。
 
時々、大物ぶって細かいことをいうのを嫌がる経営者にお会いすることがあります。
「細かいことをいわなくても社員はわかっているよ」………本当でしょうか。
 
そういう方に限っていざというときになると慌てふためいて、こんなはずではなかったといい出します。
そして挙句の果ては周りを攻め立てるのです。自分のことは棚に上げてね。
 
組織を動かすエネルギーは人間関係ではなく「仕事関係」です。

「誰を、どのように幸せにするのか」、
この1点に全力を注げる関係こそが優先すべきことなのです。



11月度ブランディングセッションのお知らせ

日時:11月14日(水) PM13:45~17:00
    ※交流会は17:30~19:30
会場:VINOSITY(ヴィノシティ)・・千代田区神田鍛冶町

詳細はこちらから→
http://www.questory.co.jp/

2012年09月28日(金)更新

サービスの本質とは何か?

「人々が幸せになるブランド」をプロデュースしているクエストリーの櫻田です。
 
以前、テレビでアイドルタレントがハワイの観光スポットを紹介する番組をやっていました。
あるお店で数人のタレントがバッグを購入することになり、お店の人と値段の交渉を始めました。
 
彼女たちが口々にいった言葉は、「サービス、サービス……」。
あらためてサービスが安さと同義語に使われていることを感じました。
これと似たケースで、「おまけをする、おまけをつける」ことがサービスという見方も根強くあります。
 
また、サービスのレベルをあげようとすると、
笑顔を良くする、明るいあいさつを徹底するなどの意見が出てきます。
これは「サービス=接客態度」ととらえているケースです。
 
しかし、いまの消費者は商品を購入するときの満足を接客だけでなく、そのプロセス全体で評価しています。
ですから、サービスを接客態度と規定してしまうのはちょっと片手落ちの感じがあります。
 
僕はサービスの本質は「お客様のこうであったらいいのになあを実現する気持ちと行動」だと思っています。
 
ただし、一番の問題は「こうであったらいいのになあ」がつかめていないことです。
実はお客様自身も気がついていないのかもしれません。
ここがサービスの奥深いところです。
 
ソムリエで有名な田崎真也さんの著書の中でこんな文章を目にしました。
ちょっと長くなりますが、大事なヒントがあるので引用します。

 
ソムリエは、あくまでもサービスのプロであって、
ワインの評論家ではないということをお伝えしておきます。
 
したがって、2000本のワインを覚えることよりも、
2000人のお客様のことを知ることのほうがよほど大切なのです。(中略)
 
ワイン好きはソムリエに向いていないと思っています。
なぜならば、自分の好みをおしつけてしまう場合が多いからなのです。
 
ソムリエは、自分が良いと思うワインをすすめるのが仕事ではなく、
目の前のお客様の好みの味を探ることが仕事だからです。(中略)
 
真のサービスとは、お客様の情報をいただくことを大切にしていかないといけないのです。

 

なるほどなあ、何気ない文章ですが、考えさせられます。

2012年09月27日(木)更新

いいサービスって、心に余裕がないとできないよね。

「人々が幸せになるブランド」をプロデュースするクエストリーの櫻田です。
 
小売店の経営者とサービスの話をしていたときに、
「結局、心の余裕の問題なんだよなあ」という言葉が印象に残りました。
 
いま目の前のことでいっぱいになっていると、お客様のことを一番に考えようとしても、
どうしても自分の勝手が前に出てしまうという話です。
 
以前、ある宝飾店のミーティングでこんな話を聞きました。

そのお店で男性客が彼女にプレゼントするためにピアスを購入されたそうです。


 
そのピアスを彼女に贈ったところ、数日後にピアスの針が折れてしまったとのこと、
当然お客様はお店にクレームの電話を入れてきました。
 
そのクレームを受けた女性店長さんはお客様にこうお話されたそうです。

「本当に申し訳ございません。女性の方にお怪我はございませんでしたか?」
 
普通ならば、お詫びの後に返品交換やお金をお返しするというクレーム対応に話が進みます。
これも大事なのですが、一歩間違えるとお客様の怒りを抑えるすることが目的になってしまいます。
 
でも「お怪我はございませんでしたか?」という一言は本当にお客様を気遣ってのことです。
男性客にとっては自分の彼女だけにとくに心に響いたようです。
 
お客様の怒りは次第に治まり、結果的には笑顔で再来店してくれたそうです。

この女性店長の応対は考えて出来ることではありません。 
普段から思考回路がお客様のことを気遣うように出来ているのだと思います。
 
売れた事例だけを評価し、お客様に喜んでいただいた事例には無頓着な経営者が少なくありません。
 
建前ではなく、売り上げはお客様に喜んでいただいた結果です。

サービスの本当の意味を理解し、
お客様を喜ばせることができる仕組みと体質改善が大事ですね。

2012年09月24日(月)更新

「ナロー&ディープ」という考え方

「人々が幸せになるブランドをプロデュースする」クエストリーの櫻田です。
 
いつもいっていることですが、
資金力も人材力も限られている中小企業が大手と同じことをやっても勝てません。

同じことをやっていると必ず同質化競争に陥りますね。
でもどうして同じことをやるんだろうね。他と違うことが怖いのかな。
 
先日の「ブランディングセミナー」でも話しましたが、
中小企業のキーワードは「ナロー(狭く)&ディープ(深く)」です。

まず大事なのは「ナロー(狭く)」。
しかし、「ナロー(狭く)」だけでは、独自性は生まれません。
もうひとつ大事なのは「ディープ(深く)」です。
 
「ナロー(狭く)」の第一歩は、目指すべき顧客。

「にらめっこする人、この指とまれ」という童謡がありますが、
対象者を特定化することは商売の原理原則です。

しかし、これを実践しているところはそれほど多くはありません。
 
ブランドは万人に支持されようとは思っていません。
それが不可能であることもよくわかっています。

「誰を、どのように、幸せにする」のかという明快な軸を作り上げ、
どの分野で自分たちの力が最も発揮出来るかをよく知っているのです。
 
絞り込まない理由は「売り逃し」。販売機会のロスが怖いのだと思います。

しかし、「浅く、広く」の総花的な商品構成で
目の肥えた消費者を満足せられるほど現実は甘くはありません。

結局はどのお客様も「売り逃し」になる可能性が高いのです。
 
反対に目指すべき顧客が決まっているところは強い。

その顧客の求める商品やサービスやおもてなしを徹底的に掘り下げればいいのですから。
まさに一点突破だね。

ヨソはヨソ、ウチはウチ、違っているのが当たり前なのにね。どうしても周りが気になる。
 
つまり、ディープは「専門性」です。
決めたところで誰にも負けないスペシャリストになること。

しかも、売り手側の一人よがりの専門性ではなく、
使い手側の立場に立ったものでなければ自己満足で終わります。
要は空回りするということ。
 
「あなたは売ることのプロモかしれないけど、私は使うことにかけてのプロですよ」
というお客様の声を聞いたことがあります。

そのときは本当に驚いた。でも納得した、実際そうだったからね。お店の人はしらっ~としていたけどね。
 
ところで、あなたの「ナロー&ディープ」はどこですか?

2012年09月21日(金)更新

靴磨きにもブランディングが必要だ!

「人々が幸せになるブランドをプロデュースする」クエストリーの櫻田です。


 
先日Facebookでも紹介しましたが、有楽町の駅前のガード下に「靴磨き」職人がいました。
いましたと書いたのは、この春あるから姿が見えなくなっていたからです。

僕も時々利用していましたので、どうしたのかなあと思っていました。
 
ところが、先週出勤途中にに有楽町駅を出ると、
「千葉スペシャル 靴磨き、交通会館の1階でいやっています」という看板が目に付いたのです。
交通会館は前の場所のすぐ近く、すぐ行ってみると、いました、いました。
 
ちなみに「千葉スペシャル」とは、千葉さんという
靴磨きの親方みたいな人が開発したクリームのこと。



驚いたのは靴磨きをする人のイメージがまったく違っちゃったことです。
ガード下の時は普通の恰好で、季節によってはジャージーやジャンパー姿の時もあったと思います。
 
しかし、交通会館では蝶ネクタイとハンチング、洋服もしかもベスト着用です。

早速、靴磨きをお願いいしたのですが、その時におじさんに聞いた話では、
ガード下が警察や区役所の指導で営業許可が認められなくなり、営業を一時期中断していたとのこと。

 「以前は何となく見過ごしてくれていたみたいだったけど、若手の担当者になって厳しくなったんだよね。」
「でもずいぶんイメージ変わったね」
「これかい、親方がこれからはイメージが大事だといってね。」
「カッコイイじゃあないですか」
「実はこのメガネは伊達なんだ。髭もはやせっていわれたんだが、それだけは勘弁してもらったんだよ」
 
なるほどねえ、見た目のイメージも「選ばれる理由」のひとつだですからね。

もちろん、ガード下時代にかなりの数の顧客を持っていました。
それは僕も含めて靴磨きの仕上がりに満足していたから。

値段は100円上がって1000円になったけど復活はうれしいことです。
 
と思っていていたところに、昨日の日経新聞にこの靴磨きのことが記事で掲載されていました。
やはり熱烈なファンの後押しで復活が決まったようです。
知らなかったけれども、約15年前からやっているとのこと。
 
常連顧客は2千~3千人、1日の利用客数は80人程度。
1,000円の客単価だと年間売上は2,800万円ということになるね。恐るべしだね。
 
ちなみに記事によると、ユニフォームは「ユナイテッドアローズ」が、
顧客用の椅子などは内装大手の乃村工芸社が企画したとのことですね。これもやるなあ。




2012年09月07日(金)更新

メニューはブランドブックだ!

人々が幸せになるブランドをプロデュースするクエストリーの櫻田です。
 
飲食店には自分たちの商品を伝えるためのメニューがあります。
お客様はそれを見て来店を決め、商品をオーダーします。
 
実際店に入り、出るまでに何回メニューを見るのでしょうか。
先日入った築地の「すし好」さんでは、おつまみで3回、お寿司で2回、飲み物で2回の7回でした。
 
しかも、3人でいったのでおよそ2時間のうちにのべにすると21回見たことになります。
それにメニューを開かなくてもテーブルの上で、
ここに控えているよと存在感を放つのがメニューです。
 
これをブランディングに使わない手はありませんね。

多くのお店のメニューは商品と価格で構成されているし、
メニューのコンサルタントの話もこれをどう見せるかという話が多いですね。
 
でもそれだけでいいんだろうか?
 
お店に期待するのはその店の考え方や姿勢、バックストーリーや店主の個性も含んで商品であり、
対価に値するかの判断をしていると思う。
 
メニューにちょっとでいいので店の考えていること、
歴史やエピソードなどを短いストーリーで入れて見るのはおもしろいと思うね。

写真はクエストリーが取り組んだ両国のちゃんこ「巴潟」さんのメニューです。

表面には同店の「ミッション」を、
裏面に同店の初代であり、四股名が店名の由来となった
昭和の初期の名力士「巴潟」を紹介しています。


 
メニューとは別にそれ的なツールをおいてある店もあるけど、
それとは別に黙っていても目にはいるメニューの中に盛り込むのが理にかなっている。
 
そういうのはスタッフが語ることという意見もあるけど、
なかなかそれが上手く機能している店は少ないし、
スタッフのレベルの格差もあるのが実情です。
 
でもメニューに書かれていればそれがテキストになるので
オーダーの時に気のきいた一言が付け加えられるはず。
これでできなければ問題はもっと別にあると思う。
 
ブランディングではコンタクトポイントのツールや装置を
教育のステップに活用することが肝だけど、それはまた別な機会に。
 

2012年09月05日(水)更新

「銀座もとじの」はなぜ新しい着物のマーケットを創出できたのか?

「人々が幸せになるブランドをプロデュースする」クエストリーの櫻田です。
 
正直いって大変だと思う。何が?それは着物のことです。
あなたは最近着物を着ている人を見たことがありますか?
いや、本来のマーケティング調査ならば「あなた(あなたのご家族)は最近着物を着ましたか?」
という質問になるのだろうと思う。
 
ところがこの質問が成り立たないほど、いまや着物の市場は日常的ではありません。
日常的ではないものは通常のマーケティングの概念には当てはまらない。

しかし、ほとんどの人が着ない着物が売れている店があります。
なぜなのでしょうか?その答えが「銀座もとじ」にあります。



 

衰退した市場で売り上げを伸ばしていくためには様々な方策が考えられますが、
根本的な解決策は「新たな市場」を作るか、あるいは「眠っている市場」を掘り起こしていくことです。
 
しかし、それは並大抵なことではありません。
それを「男のきもの」で実現したのが「銀座もとじ」です。

銀座もとじ→http://www.motoji.co.jp/
 
1988年、東京・銀座の2丁目に念願の路面店をオープンした泉二社長は、
すぐに銀座の百貨店、老舗店などとの競争という壁にぶつかります。
 
当時の「銀座もとじ」は染、織などの着物が並ぶ何でもありの総合型の店舗でした。
「自分は数多くの像に向かうアリの様なまのだ」と実感した泉二社長は
銀座での生き残りをかけて、個別ニーズに専門特化した店作りにシフトすることを決意します。
 
そのモットーは「新しい時代の新しい着物」でした。この言葉に泉二社長の決意が感じられます。
 
2000年の女性の織の着物専門店「和織」を皮切りに、染の着物の専門店「和染」、
和の文化発信基地「ぎゃらりー泉」、「銀座もとじ大島紬」を次々とオープン。

そして、専門特化の象徴ともいえるのが今年で10年目を迎える「銀座もとじ」男の着物です。



 

着物のそのものが衰退する中で「なぜ男の着物なのか?」。
ここに新しいマーケット開発の「肝」があります。泉二社長は語ります。

「多くの男性が国際交流を経験していくにつれ、
日本人としてのアイデンティッティを示すものとして着物を求める声が高まってきました。」
 
「その一方で男性が一人で気軽に足を運べる店がなかった。ならば、男性専門の着物専門店を作ろう」
ここが大きなステップになりました。

男性の着物市場はそれまでも存在しました。
しかし、国際化という切り口で専門店というカタチにしたことが素晴らしい。
 
いまでは「銀座もとじ」では、男の着物の売上が全体の約4割を占めるといいます。

「銀座もとじ」は、それまで一部の潜在的なニーズに過ぎなかった男性の着物を、
専門店化することにより、より顕在化したものとして新しいマーケットを作り出したのです。
 
9月12日(水)の「第26回ブランディングセミナー」では「銀座もとじ」の泉二社長から、
「業界の非常識であり、大手がやらない取り組みがブランディングにつながる」という講演をしていただきます。

まだ、お席がございますので、ぜひご参加ください。
 

第26回ブランディングセミナー
日 時:9月12日(水)13:30~18:00
会 場:東京国際フォーラムGブロック4階・408号室

詳しくは→http://www.questory.co.jp/



会社概要

(株)クエストリーは2003年に「店がブランドになる」ことを支援・プロデュースするために設立されました。「店がブランドになる」ためのプロセスをわかりやすく整理し、具体的な成果につながるコンサルティング、プロデュース、クリエイティブを展開しています。代表取締役の櫻田弘文は、これまでに300社以上...

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個人プロフィール

1955年生まれ、自然豊かな山梨県南アルプス市で育つ。高校卒業後、大学に進むが、学業には目を向けず、芝居に夢中になる日々を過ごす。大学卒業後、広告・マーケティング会社に入社。5年区切りで、コピーライティング、広告プランニング、マーケティング、店舗開発、マネージメント指導などの業務を経験する。2...

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