大きくする 標準 小さくする

«前の記事へ 次の記事へ»


「ビリー・ホリデイ」の「奇妙な果実」に込められたメッセージ

投稿日時:2012/05/30(水) 17:54rss

「人々が幸せになるブランドをプロデュースする」クエストリーの櫻田です。


 
店や会社を経営するということは、望む、望まないは別として
「ひとつのメッセージを世に送り出すこと」だと思っています。
とくに昔から店は「構える」「張る」と言われるように、存在そのものがメッセージ性を持っています。
 
しかし、このメッセージと言うやつはなかなか難物です。
ただ伝わればいいわけではなく、やはりそこに共感が必要なのです。

メッセージは言語や文字で伝わるのが一般的ですが、
強い共感を生み出すには、時代や状況に合わせた独自の編集が必要です。
今日はそんな話をしたいと思います。

 
1930年代に活躍したジャズシンガーに「ビリー・ホリデイ」がいます。

彼女の有名なレパートリーは「奇妙な果実:Strange Fruit」です。
この曲は1930年にニューヨーク市ブロンクス地区の
ユダヤ人教師「エイベル・ミーアポル」によって作詞、作曲されました。
 
「奇妙な果実」とは何か?

それは木にぶら下げられた黒人の死体のことです。
当時のアメリカ南部では黒人をリンチにかけて木に吊るし、
火をつけて焼き殺すことがしばしば行われていました。

ミーアポル教師は人種差別を告発する歌としてこの曲を作ったのです。
 
グリニッジヴィレッジのナイトクラブ「カフェ・ソサエティ」の支配人はこの歌を耳にし、
クラブの専属歌手の「ビリー・ホリデイ」に歌うことを勧めました。

あまりにも陰惨な歌詞に危惧を抱きながら、
初めて彼女が「奇妙な果実」をステージで歌った時のことです。
 
歌が終わると客席はしーんと静まり返り、拍手ひとつ起きませんでした。
「ああっ、歌わなければよかった」と思った瞬間、
一人の客の拍手をきっかけとして、客席全体が割れんばかりの拍手と称賛の声に包まれたのです。
 
黒人の地位や権利がまったく保証されておらず、虐殺が日常茶飯事であった当時の状況を考えると、
黒人女性が人種差別を告発する「奇妙な果実」を歌うのは非常に危険な行為でした。
しかし、彼女は1939年からこの歌を必ずステージの最後に歌うようになったのです。
 
こうして「奇妙な果実」に込められたミーアポル教師のメッセージは
「ビリー・ホリデイ」により、黒人への暴力の反対運動を代表する歌として広まっていきました。
やがてこれが20年後に黒人やマイノリティグループの公民権運動へとつながっていったのです。
 

最近強く感じるのは、「ブランディングとは公益性を持った経営活動」と言うことです。

ライバルや競合に勝ことだけの「同質化競争」は自分だけの幸せが目的です。
しかし、競争とは無縁の「独自化経営」は、お客様はもちろんこと、
経営者も社員も取引き先もみんな喜ぶことが目的であり、結果として社会の幸せにつながります。

<7月度ブランディングセッションのご案内>

日  時:7月11日(水)PM13:45~17:00(受付開始13:15)
会  場:銀座ブロッサム(中央会館)7階・ジャスミン

参加料:「ブランディングクラブ」発足記念につき、
     限定30名様まで無料!
     (残数が少なくなっています。お申し込みはお早めに)

 

詳細は→http://www.questory.co.jp/
 

トラックバック一覧

コメント

名前:
Eメールアドレス:
コメント:
ファイル

画像の英字5文字を入力して下さい。:
パスワード:

会社概要

(株)クエストリーは2003年に「店がブランドになる」ことを支援・プロデュースするために設立されました。「店がブランドになる」ためのプロセスをわかりやすく整理し、具体的な成果につながるコンサルティング、プロデュース、クリエイティブを展開しています。代表取締役の櫻田弘文は、これまでに300社以上...

詳細へ

個人プロフィール

1955年生まれ、自然豊かな山梨県南アルプス市で育つ。高校卒業後、大学に進むが、学業には目を向けず、芝居に夢中になる日々を過ごす。大学卒業後、広告・マーケティング会社に入社。5年区切りで、コピーライティング、広告プランニング、マーケティング、店舗開発、マネージメント指導などの業務を経験する。2...

詳細へ

バックナンバー

<<  2024年11月  >>
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

コメント一覧

最新トラックバック

  • 全豪オープン 大坂選手優勝。 from (株)京都工芸【タオルはまかせたろ.com】 タオルソムリエ 寺田 元 の日記
    こんにちは。【タオルはまかせたろ.com】タオルソムリエの寺田です。
  • 「ブランディング対談集&講演録」を頂きました! from フレキシブルチューブ、ベローズの三元ラセン管工業株式会社 高嶋 博 社長の日記
    11月に銀座ブロッサムで開催したブランディングセッションにお招きを頂いた、株式会社クエストリーでは、ブランドになることを目指す経営者のための「ブランディングクラブ」を主催していて、ブランディングセミナーやブランディングセッションを開催しております。 また会員には毎週金曜日にブランディング会報を配布していてその会報に「ブランディグング対談」が掲載されています、その対談とセミナーやセッションでの
  • イングリッド・バーグマンのすべて from Re:play
      イングリッド・バーグマン(Ingrid Bergman, 1915-1982)は北欧スウェーデン出身の女優です。 イングリッド・バーグマンといえば、何といっても有名なのは映画「カサブランカ」(1942)で演じたヒロインのイルザ役でしょう☆ 可愛かったですねぇ~!あの頃のバーグマン、めっちゃ綺麗で好きです。 一応、説明しておくと名画「カサブランカ」はマイケル・カーティス監督の映画で、イングリッド・バーグマンのお相手をしたのはハンフリー・ボガートという俳優。 この方、日本で言うなら高倉健さんのように…
  • 『売れ続ける理由』 from なにわの社労士発~「今日もこんなええことありました」
    売れ続ける理由~一回のお客を一生の顧客にする非常識な経営法クチコミを見る 『売れ続ける理由~一回のお客を一生の顧客にする非常識な経営法』を 読みました。 著者は仙台市から...
  • 【ブログピックアップ】クエストリー 櫻田弘文さん from 経営者会報ブログ編集部
    「ブログピックアップ」では、 経営者のみなさんの書かれたブログの中から、 お薦めのブログをご紹介しています。 今回のお薦めブログは クエストリーの櫻田弘文さんです。  ...