㈱クエストリー 社長 櫻田弘文「ブランディング」通信 | 経営者会報 (社長ブログ)
「店がブランドになる」ことを支援・プロデュース! コンサルティング会社・社長のジャム・セッション
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2011年12月16日(金)更新
お給料は誰からいただくもの?
年末は忘年会などの集まりが多い時期ですね。いろいろなお店を利用することも多いと思います。
そんな時にいつも感じるのは、お店のスタッフは大事なコンタクトポイントです。
スタッフの対応いかんによってお店の印象ががらりと変わります。
本気でお客様のために仕事をしているスタッフもいれば、
お給料をもらうための仕事だからというスタッフもいます。
同じような仕事をしていてもお客様に伝わるものはまったく違ってきます。
料理の味さえ違うように感じるさえもあります。
たぶんアルバイトだと思うのですが、
あるお店で仕事の合間に携帯電話をチェックしているのを見たことがあります。
お店の先輩や上司はいっこうに注意をしません。
手が空くたびにチェックしているので、よほど大事な連絡でもあるのかと思ってしまいました。
“背中に目が付いているんですよ”、これはあるお店のスタッフが笑いながら言った言葉です。
この女性スタッフは実にお客様の動きを観ています。
本当に背中に目が付いているんじゃないのかと思うくらい、こちらがして欲しいことをキャッチしてくれます。
経験の差と言えばその通りかもしれませんが、
違いの源にあるのは、“自分たちの給料はお客様からいただいている”ことの理解です。
お給料は会社からもらうのではなく、お客様から頂戴すると言うことです。
それで洋服も買えて、食事も出来るのです。
仕事のやり方や手順を教える前に、このことをスタッフにきちんと伝えるのが本当に教育です。
店が混んでくると、行きとどかないことも出てきます。
でも、このことをしっかりと浸透していれば、お客様の役に立ちたいと言う気持ちは自然と伝わります。
“いまは大変そうだから頼むのはちょっと後にしよう”と言うことさえ起きてきます。
お給料のために働いているスタッフなのか、お客様のために働いているスタッフなのか、
その違いって簡単にわかってしまうものですよ。
2011年12月05日(月)更新
すべてをミッションの伝道ツールに変える
「ミッション」とは、ウチの会社はなぜ社会に存在するのかと言うことに対する答えです。
もっとわかりやすく言うと、「選ばれる理由」のこと。
同質化競争とは決別し、自社ならではの価値で支持される仕組みを作るためには、「ミッション」が不可欠ですね。
あるお店でこんな声を聞きました。「近くの店で売っているけど、あなたから買いたいから
少々高くてもいいので仕入れて欲しい」………ファンの力、恐るべし。この力を侮る会社は伸びません。
そして、ファンの力の源にあるのは、「ミッション」への強い共感です。
反対にこんな怖い声も聞きました。「どんなにいいものでも、あの会社が作っているのなら買わない」。
作っている会社や販売しているお店の経営姿勢も実は品質の一部なのです。
インターネットのレビューをチェックしてから購入を決定する人は少なくありませんよ。
でも「ミッション」って、社員にもなかなか浸透しないのに、
消費者に伝えるのって難しいし、あらためて印刷物を作るのはもったいない。
そんな声が聞こえてきそうですが、いま大事なことは「ミッション」を通常使っているツールや印刷物に盛り込むことです。
以前、このメルマガで書いたことがありますが、「鳩サブレー」ってご存知ですか?
鎌倉の豊島屋さんという会社で製造販売しているお菓子です。
ネーミング通り、子供の手のひらくらいの鳩の形をしたサブレです。関東ではかなり知られたお菓子で、とってもおいしい。
鎌倉の味 鳩サブレー 豊島屋 http://www.hato.co.jp/
この「鳩サブレー」の缶に「鳩のつぶやき」という二つ折りの小さなパンフレットが入っています。
そこには、鳩サブレーの誕生の背景、ネーミングの由来、売れなかったころの苦労、
関東大震災や第2次世界大戦時の苦難などがイラスト入りでまとめられています。
この小さなパンフレットは、まさに豊島屋さんの「ミッション」の伝達ツールです。
ちなみに、豊島屋さんの男性スタッフのネクタイは鳩柄、女性スタッフの制服にも鳩の刺繍模様が入っています。
お店に行く機会がありましたら、こっそりと眺めてみてくださいね。
2011年12月03日(土)更新
「第25回ブランディングセミナー」開催決定!
今日のブログは弊社の岡本マネージャーのブログをそのまま転用させてもらいます。
オリジナルはこちらから→岡本亮二「走る!ブランディングマン」
http://wakuwakuman.blog90.fc2.com/blog-entry-148.html
今日、社内のメンバーと3月7日(水)に開催が決定した
「第25回ブランディングセミナー」の打ち合わせをしました。
どんなテーマで、何を伝えるのか!
参加される方たちへ何が有益な情報になるのか!
この点について論議しました。
これまでのセミナーのテーマを振り返ってみても
・第24回 「楽しくなければブランドじゃない!」 (2011.8)
・第23回 「絆がブランドを強くする」 (2011.3)
・第22回 「あなたの会社の眠っている価値を掘り起こせ!」(2010.8)
・第21回 「生き残るブランド力」(2010.2)
・第20回 「ブランドの「スタイル」は人がつくる」(2019.11)
・第19回 「“物語”がお店のブランドを強くする」(2019.8)
・第18回 「“価値”がお店のブランドを強くする」(2019.2)
と、中小企業が光り輝くブランドになるための
経営のシナリオを本質から伝えてきました。
また、特別講演に登場していただいた講師陣たちのお話は
本当に素晴らしかったです。
いま思い出してもワクワクします。
自社ならではの独自性を発揮し、ファンに愛されるブランドづくりを実践され、
いまを生き残る経営のヒントがたくさんありました。
【過去の講師陣】
・小杉光司氏(COSUCOJI 代表)
・佐藤啓二氏(主婦の店「さいち」 代表取締役)
・渡辺英彦氏(富士宮学会 会長)
・葉葺正幸氏(株式会社 和僑商店 代表取締役)
・赤堀正俊氏(Pen boutique書斎館 オーナー)
・瀧勝巳氏(メイド・イン・ジャパン・プロジェクト株式会社)
・久米信行氏(久米繊維工業株式会社 代表取締役)
次回の「第25回ブランディングセミナー」でも
これまで以上に参加者の方々がワクワク、やる気のでるセミナーを目指します!
もちろん、私も講演します(笑)
詳しい内容は、決まり次第随時お伝えしますね!
乞うご期待!
2011年12月02日(金)更新
作り上手の伝え下手
今週の月曜日に、「フードスタジアム」主催の経営戦略セミナーで、
ブランディングのことを話す機会をいただきました。
参加者の多くは飲食業界の方々。レストランや飲食店を経営されている方や、
そこにお酒や食材を納めている会社、マスメディア関係の方々だったたようです。
フードスタジアム:http://food-stadium.com/
第1講座を担当し、ブランドとは何か、ブランド価値の見つけ方、探し方ついて話しました。
第2講座は、カンブリア宮殿でも取り上げられた「APカンパニー」の
米山順子さん(取締役企画本部長)、野本良平さん(取締役副社長)とごいっしょのパネルディスカッションでした。
APカンパニー:http://www.apcompany.jp/
パネルディスカッションってこれまで何度もやりましたが、結構難しい。
しかし、今回は、米山さん、野本さんの経営に対する考えが
極めて明快でしたので、すごくやりやすかったですね。
ミッションと仕組みをきちんと整合性を取って進めている見事な経営です。
第3講座は、ワインの伝道師(個人的にそう呼ばせていただきます)の
ヴィノシティの藤森真さんのワインを取り巻く状況についての講演でした。
神田で2店舗のお店を経営されている藤森さんはとにかく熱い人、ワインに対する志しがはっきりとしています。
ヴィノシティ:http://www.societe-charpente.com/vinosity/
セミナーを通じてたくさんの気づきがありましたが、そのひとつが「作り上手の伝え下手」ということです。
各地には地域の特性を生かした商品や食材をまじめに一生懸命作ったり、収穫している人たちがいます。
また、それを使って料理を作る人たちがいます。
しかし、残念なことに作ることにはプロなのですが、
それをどう伝え、販売するかという視点が不足していることが少なくなりません。
おいしいものを作れば支持してくれるはず、いいものを作れば買ってくれるはず………でもこれって錯覚だと思います。
食に関するビジネスの難しさは“おいしさ”は主観だということです。
同じものを食べても人によって異なりますし、その時の状況にもよって違ってきます。
この異なる“おいしさ”を伝えるためには“おいしさの方向性”を示し、理解してもらうことがとても大事。
「当店はこういうものを“おいしい”とする」という軸を明確にすると言うことです。
「APカンパニー」さん、「ヴィノシティ」さんは、この軸がはっきりとしていて、ぶれない強さを持っています。
膨大な情報が氾濫している中では、どんなにおいしいものでも伝わらなければ価値がないのと同じです。
食に限らずですが、商品の素晴らしさが100あるとしても、
お客様に20しか伝わらなければ、その商品は20の価値しかもっていないのと同じです。
作り手は100だと思っても、受け手に20しかおいしさが伝わらなければ“おいしくないよね”と言うことになります。
自分たちが考える100のおいしさをどう伝えるかが、その店の独自性になりますね。
伝わらなければ、自店ならではの強みや他との違いは生み出せません。
でも、難しく考えることはありませんよ。
おいしいということの「価値のタネ」は意外と身近に眠っています。
“どこが他と違うおいしさなのか”“どんな風においしいのか”“おいしい理由は何か………
真剣に自問自答し、明文化することにより、伝えるべきことが見えてきます。
2011年11月25日(金)更新
「フレームワーク」をきちんと整理する
「Facebook」でもちょっと書きましたが、ブランディングのプロジェクトは、
様々な立場や考え方の人たちが関わって進行します。
ブランドのイメージづくりの中心となるデザイナーでも、
グラフィック、ウェッブ、インダストリアルなど様々なジャンルに渡ります。
ジャンルの違う複数の人たちが協調しながらプロジェクトを進めていくにはどうしたらいいのでしょうか。
各々の立場で自由に発想していくのもひとつの手かもしれませんが、
実際には相当レベルが高く、同時に気心の知れたプロ同士でないとうまくいきません。
ブランディングのプロジェクトを進めるときに、
クエストリーが大事なのは「フレームワーク」をきちんと「整理をすること」です。
「フレームワーク」は文字通りアイディア以前の枠組みのこと、「整理すること」の基本は「分けること」です。
事実と意見を分ける、確定していることと不確定のことを分ける、伝えたい事と伝えたくないことを分ける、
やるべきこととやらざることを分ける………手間はかかっても、こここで手抜きをすると、
先々で話が行き違ったり、しなくてもいい無駄が生まれます。
何をやろうとしているのか、どこを目指すのか、いつまでにやるのか、誰が責任を持つのか、
どれくらいのコストをかけるのか………これらを整理しておかないと、
目の前のアイディア、やりやすいこと、個人の思いなどが錯綜して、プロジェクトは収拾がつかなくなります。
「フレームワーク」が整えるということはプロジェクトに関わる人たちのベクトルを合わせることになります。
ベクトルがあっていれば、後はいかにアイディアを出し、それを価値に換えられるように組み立てていくことです。
まあ、これも口で言うほど楽ではありませんが………。
2011年11月11日(金)更新
モノ作りの現場に足を運ぶと言うおもしろさ
先週の土日に「山梨ワインツーリズム2012」に参加をしました。
これは山梨のワイナリーを巡り、作り手と触れ合いながらワインを味わうイベント。
さらに、そのワインが作られた土地を自分の足で歩きながら、
その土地ならではの食や文化を体験するというものです。
初参加でしたが、2日間で14のワイナリーを巡り、
おいしいワインを試飲(いや本気で飲んで)して、醸造家の熱い話を聞いてきました。
僕自身も山梨出身ですが、“山梨には、こんなにすごい宝物が眠っていたのかと言う思いでした。”
(山梨だけではありませんよ。)
商品に圧倒的な差がなくなっているいま、商品に新しい価値を付加して提供しなくてはお客様の心は動きません。
その価値の付け方が、店の独自性であり、その店ならではの魅力なのです。
そのひとつの手掛かりが「創り手」の情報。これが圧倒的に不足しています。
“商売はそんなに甘いものじゃないよ、それで売れれば世話はないよ”
でも、実際の販売の場面で、商品が作られた背景や作り手の思いがどれだけ語られているでしょうか?
商品の表面的な説明と価格のみで終始しているケースが本当に多いのです。
売れないと悩むよりも「創り手のもとを訪ねること」の方がはるかに具体的な解決策を発見出来ます。
そして「商品の背景にあるストーリーや思いを手に入れること」、
それを「プロの目で整理してわかりやすく語ること」
この3点に不振脱却のヒントがあるのではないでしょうか。
2011年10月24日(月)更新
変化しないことが一番リスクの大きい選択です。
自分の立っている岸辺が変化と言う急流にどんどん削り取られています。その岸辺に3人の人がいました。
一人は意を決して流れの中に入っていきました。二人目はみんなが渡るまで待とうとしています。
三人目はまだ大丈夫だと言っていまのところに留まっています。
英国の首相を務めたウィンストン・チャーチルは“過去にこだわるものは、未来を失う”と語っています。
日産とルノーのCEOのカルロス・ゴーン氏は
“日産にきて一番驚いたことは、家が火事で燃えているのに誰も何もしないで座っていることだ”と言っています。
“適者生存の原理で生き残った者は、
最も強い者でなく最も賢い者でもなく、最も変化に敏感に反応した者である”、
進化論の提唱者として知られるチャールズ・ダーウィンの言葉と言われますが、実は違うようです。
誰の言葉かは別として、その意味するところは重要です。
“変化”することの大事さを頭ではわかっていても身体は現状維持を望みます。
なぜなのでしょうか?それは慣れ親しんだ現状の方が楽だからです。
現場を見ますと、変化といいながらあれやこれやと言い訳を付けて、先送りをしている事例がたくさん目につきます。
パラダイムが根本から変わりつつあるいま、何が正解で何が不正解かなど事前にわかるはずがありません。
やってダメだったらやり直せばいいじゃあないかというくらいでなければ、何も出来ません。
現状の温かさに甘えて動かないことの方がはるかに危険です。
地方の小規模な信用金庫のひとつだった長崎県民信用金庫の生き残りをかけた取り組みをまとめた
“異常が正常”(高津成志著、ビーケーシー発行)という本があります。
この中では“捨てることが戦略”と繰り返し書かれています。まさに変化ということを実感します。
トップが現状を肯定した時から、その会社の老化は始まると言われます。
ある意味では現状維持は後退と同義語、優れた経営者は絶えざる現状否定論者です。
とはいっても、悲観的に物事を考えるのも良くありません。変化を歓迎し、受け入れる気持ちが大事ですね。
ところで、冒頭の流れが急になった川の話ですが、大事なのは削り取られつつある岸辺から向こう岸に渡ることです。
ある経営者は「川を渡るのではなく、橋を掛けるという発想も大事だな」と語っていました。
こう言うことを考えると楽しくなってきませんか。
2011年10月21日(金)更新
変化を作り出していく側に回る
つくづく本当に変化の時代だと思います。
変化とは、いままで通用したものが通用しなくなるということ。
しかし、これだけ変化が早いと、変化を読むことなんて出来ませんね。
変化したなあと思うのは、結果を見てからのこと、この時点ではすでに遅れています。
どうせ読み切れないのであれば、変化の後追いをするのではなく、
変化を創り出していく方に回りましょう。
変化とは動いた結果からわかること。
いままでとは違うことをやってみなければわかりません。
いいか、悪いかは、やった結果から判断するしかないのです。
今日の解が、明日も通用するという保証がまったくない時代です。
ならば、確証などなくても変えてみることの方がはるかに大事です。
やってみなければわかりません。やってみてダメだったら、
違う方向に向かえばいいだけのことですから。
ブランディングのプロセスでは
“ウチには向いていない、無理!”という言葉をよく聞きます。
この言葉を聞くと、“この程度の取り組みで無理かどうかどうしてわかるんだろう。
とことんやってから言って欲しい”、本当にそう思えてなりません。
向いていないとか、無理と言う言葉の裏側にあるのは、しんどくてやりたくないということ。
こういう方に限って、“昔の方がよかったとか、これまでのやり方がいい”といいます。
なんとかしたくて、新しいことに取り組んでいるにもかかわらずです。
成功なんちゃらのセミナーや本には、簡単にうまくいきそうな話がごろごろしています。
ただし、万人向きのものはありませんよ。
苦しくても、大変でも、自分流のやり方を作っていくしかないのです。
そのためには、やってみなければ、わからないのです。
大きな変化でなくてもいいと思います。小さな変化を次々と起こしましょう。
変化を起こすためには動くこと。
淀んだ水は必ず腐るように、じっとしていても状況は変わりません。
現場に足を運び、元気のいい現実を注視し、消費者起点で考えることです。
2011年10月11日(火)更新
「顧客価値」を持った言葉の力
前々回は「違い」について、そして前回は「顧客価値」について書きました。
「違い」をいくら訴えても、それが顧客にとって価値があるものでなければ伝わらないという話でした。
長年広告界で活躍している鈴木康之さんと言うコピーライターがいます。
数多くの広告賞を受賞されていますが、コピー作法書も書かれており、若い時に随分と読みました。
その中の1冊に「名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方」があります。
その“はじめに”に書かれている一文が「違い」と「顧客価値」のご参考になるのでご紹介いたします。
フランスの詩人アンドレ・ブルトンがニューヨークに住んでいたとき、
いつも通る街角に一人の黒メガネの物乞いがいました。
首に下げた札には「I am blind.:私は目が見えません」と書いてありました。
彼の前には施し用のアルミのお椀が置いてあるのですが、
通行人はみんな素通り、お椀にコインはいつもほとんど入っていません。
ある日、ブルトンはその下げ札の言葉を変えてみたらどうか、と話しかけました。
物乞いは「旦那のご随意に」と答えました。
ブルトンは「I am blind.」と言う文字を、新しい言葉に書き換えました。
それからしばらく過ぎるころ、その浮浪者は異変に気がつきました。
言葉を書き換えてからというもの、お椀にコインの雨が降りそそぎ、
通行人たちは同情の言葉をかけていくようになりました。
物乞いにもコインの音や優しい声が聞こえます。
数日後、物乞いはブルトンに「旦那、なんと書いてくださったのですか」と尋ねました。
下げ札にはこう書いてあったそうです。
「Spring's coming soon.But I can't see it.:春はまもなくやってきます。でも、私はそれを見ることができません。」
誰が見てもうらぶれた物乞いです。黒メガネをかけているのだから盲人であることも分かります。
「私は目が見えません」は違いを伝えるだけで、人々の心にはなにも響きません。
アンドレ・ブルトンが書き換えた言葉には、物乞いの前を通る人たちに訴える力があります。
憐れみを乞う力があり、人に行動を促す力があります。
ちょっと品のない言い方かもしれませんが、集金能力のある言葉です。
読んでもらって、施しの気持ちを起こさせ、施しをいただく、つまり「顧客価値」を感じさせる言葉です。
2011年10月03日(月)更新
見つけた違いを「顧客価値」に変換する
前回は「違い」がなければ選ばれませんと言うことを書きました。
たくさんの中からあなたが選ばれるには、「選ばれる理由」が必要です。
「選ばれる理由」とは何でしょうか?それは「違い」です。
この違いを育てることが「選ばれる理由」につながります。
どこにでもあるような商品を、どこにでもあるような店舗で、
どこにでもあるような売り方ならば、残念ながらあなたは選ばれません。
そんなことを書かせていただきました。
「違い」探しの4つのポイントと「違い」を見つける7つの着眼点もご紹介しました。
※詳しくはこちら→http://www.accessmail.jp/public/bnz.php3?pk=MDUqBZY&bc=FFFF66
ところがここで勘違いが起きます。見つけた「違い」をお客様にストレートに伝えてしまうのですね。
“当店は創業150年の歴史があります”、“地元で一番の店舗面積を持っています”………こんな感じですね。
ところが多くのお客様の反応は冷ややか。
歴史が古かろうが、店舗面積が広かろうが、自分にとって関係なければ、
“だからどうした!”と言うことです。
残念ながらあなたの投げたボールをお客様は受け取ろうとしないのです。
一生懸命に努力しているのにお客様に支持されないのは多くのこのパターンです。
僕もあなたもそうでしょうが、自分に関係のないものには関心を示しません。
ましてやそれに売り込みの匂いがすると、本能的に避けようとします。
そうです、相手にもしかして自分のことだなと思ってもらうには、ただ“違い”を伝えるだけではだめなのです。
大事なのは、“違い”を目指すべきお客様の価値に変えることです。これを「顧客価値への変換」と言います。でもこれって頭でわかっていても、実際にはなかなか出来ないんですね。やっぱり売り手側から見た違いしか伝えられていないことが少なくありません。
とくにモノを作る立場の方は、いいモノを作れば支持されるはず、
売れるに違いないと言う思い込みがあります。
しかし、これは誤り。顧客の価値に変換されてはじめていいものになるのです。
もちろん、モノそのものが一定の水準以上であることは言うまでもありません。
私たちは、モノの価値を顧客の価値に変換するシナリオを、
消費のジャンルを変える「ローリング」と
ライフスタイルに組み込む「リフトアップ」と言うふたつの仕組みで考えます。
いま世の中で支持されている商品やサービスは、このふたつをうまく取り込んでいます。
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