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2013年12月04日(水)更新

帝国ホテルのおもてなしの心

「小さくても光り輝くブランド」を支援しているクエストリーの櫻田です。


「帝国ホテルのおもてなしの心」という本をご存知でしょうか。

いまから20年近く前に、学生社という出版社から、1995年に出版されたロングセラー本です。
ずいぶん前に購入した本ですが、会社の書棚で目に止まりました。



この本は、帝国ホテルが1978年から月刊誌・文芸春秋に連載したシリーズ広告をまとめたものです。
帝国ホテルが行っている様々なおもてなしがわかりやすく紹介されています。


ずいぶん前のことですが、お取引先の社長さんが
帝国ホテルに泊まって感激したことを話してくれました。

社長さんは、その日風邪気味で喉の調子がおかしく、
チェックインしたときに風邪薬を欲しいとフロントで伝えたのだそうです。

部屋に入り、薬を飲んでしばらくすると部屋がノックされました。
ドアを開けるとそこにはホテルのスタッフが加湿器を持って立っていたそうです。



こういった感動につながるサービスは、効率や手間やコストから考えたら、
「できない、難しい」ということになりがちです。

でもお客様が望んでおり、誰もがやりたがらないことこそ、価値があり、
リピーターを生み出すキーポイントになります。

ブランドは「幸せな記憶のスタンプ」だけど、小さな心配りが果たす役割は大きいですね。


クエストリー:http://www.questory.co.jp
クエストリー・ブランディングクラブ:http://www.questory.co.jp/tabid/120/Default.aspx

2013年12月03日(火)更新

成果を生み出すシンプルなステップを基本通りに

「小さくても光り輝くブランド」を支援しているクエストリーの櫻田です。


お手伝いをさせていただいているお店や会社の業績の報告を聞くたびに、
いたずらに、売り上げや利益に一喜一憂するのではなく、
まずは事実をきちんと整理することの大事さを実感します。

すべてが悪いわけではなく、さほどでもない部門もあれば、本当にひどいところもあります。
多くは全体の数字だけを見て、業績不振という判断をしています。


具体的な対策を立てる前に、一つひとつていねいに分解する必要があります。
「何が出来ていて、何がうまくいっていないか」をきちんと把握することです。

これをしないまま、対策を立てても焦点が絞られずに徒労に終わることが少なくありません。
結果的に社内にはあきらめムードが広がります。


ちょっと乱暴な見方かもしれませんが、有効な対策の多くは新しいことではありません。
むしろ基本の徹底と見直しに尽きることが少なくありません。

確かに景気や外的要因に左右されることも少なくありません。
しかし、低迷や不振の原因の多くは内部に潜んでいます。

それはいい換えれば、基本の軸がずれているのです。



まずは成果を生むシンプルなステップを基本どおり踏むことです。
どんなに小さな成果でも、それが生まれれば人は明るく前向きなれます。

出来ない理由を考えると悩みはつきません。

出来ない理由は、結構自分でもわかっているだけに、出来ない自分が情けなくなります。
それが重なると社風はどんどん暗くなります。


ないものを数えると、どうしても他との比較になります。

すべての悩みは比較から始まるといっても過言ではありません。
いま出来ること、いまあるものこそ、基本の実践ではないかと思います。



かつて「小さな努力で大きな成果」が当たり前の時代がありました。

小さなことをコツコツと積み上げることが、
どこか馬鹿らしいという雰囲気さえありました。

しかし、本当の経営とは・・・

「大きな努力で小さな効果を上げながら、
それを大きな成果に育てる工夫を重ねること」だと信じています。


クエストリー:http://www.questory.co.jp
クエストリー・ブランディングクラブ:http://www.questory.co.jp/tabid/120/Default.aspx

2013年12月02日(月)更新

食の安全とおいしさを本気で考えるとこうなる

「小さくても光り輝くブランド」を支援しているクエストリーの櫻田です。
 

「クエストリー・ブランディングクラブ」というグループを主宰しています。
業種、業態はさまざま、ブランディングに本気で取り組む経営者の集まりです。
グループの活動は弊社のホームページをご覧ください。http://www.questory.co.jp
 
以前から、会員同士のコラボレーションの場を作りたいと思っていました。
今日がその第1回目。会員のバル.ジャパンがグループ会社として11月から事業を始めた
太田市場にある牡蠣の仲卸「山小三(やまこさ)」さんの見学会を行いました。

山小三(やまこさ):http://yamakosa.com
バル.ジャパン:http://www.barjapan.co.jp
 
9時45分に京浜急行の平和島駅に集合したのは、
クラブ会員の5名と会員からのご紹介の2名の計7名。全員が飲食店関係の方です。
早速、太田市場に移動して牡蠣の仲卸の山小三さんを訪問しました。


お二人はご予定があり早めにお帰りになりました。
 

このところ食品の偽装問題がニュースをにぎわせています。
自社の利益追求だけを考えた偽装は見逃せませんが、もっと根本的な流通や管理にも問題があります。
今回のコラボレーションミーティングはその食品の安全性を考える機会でもありました。
 
牡蠣と言うと、必ず身近に一人くらいは当たったことがある人がいますよね。
しかし、バル.ジャパンさんが運営しているオイスターバー&レストラン「オストレア」では
営業を始めて6年が経ちますが、一度も当たった人はいません。
 
牡蠣は1日に200リットルの海水を吸い込み、吐き出すのだそうです。
海水には一定数の細菌が常時存在しているのだそうです。
例えばノロウイルスなどが体内に残ったままの牡蠣を食べると問題が起きます。
 
 


牡蠣に付着した細菌類は紫外線殺菌灯で
照射した海水に24時間以上つけることで99.9%は除去できるのだそうです。
同社では生産者の下で24時間~72時間紫外線殺菌海水に保管された安全な牡蠣のみを扱っています。

海のミルクと言われる栄養抱負で消化のよい牡蠣は実は産地ごとに味が異なります。
牡蠣は大量の海水で体内を濾過することにより、
山から河川を通じて流れ込んだ養や栄養を取り込み、産地ごとの牡蠣の味が生まれるのだそうです。

しかし、海水を大量に取り入れて吐き出す、この牡蠣の特性によって問題がおきます。
産地の違う牡蠣を同じ海水の中に入れてしばらくすると、
吸い込んだ海水によって全部が同じ味になってしまうのだそうです。これって知りませんでした。


海の栄養たっぷりの牡蠣を試食させていただきました。
 
 
同社ではこの問題を解決するために、多額の費用を掛けて
世界初の減菌・衛生施設を太田市場内に作りました。

この施設では、5℃以下に保った紫外線殺菌された海水ミストを噴霧し、
牡蠣を冬眠状態にさせています。
 
海水の出し入れがないので、牡蠣は産地の風味をそのまま閉じ込めたまま眠っています。
鮮度やおいしさが損なわれないのはもちろんのこと、さらにはアミノ酸が増すと言われています。

海水ではなく冬眠させて保管する、これってコロンブスの卵的な発想の展開です。


減菌・衛生施設に入るために白衣に着替えました。
なんだかみんな嬉しそうです。
 

さらにもうひとつのこだわりは「スラリーアイス」です。
これは牡蠣を塩分1%の人工海水で作った雪に近いみぞれ状のアイスです。

これで牡蠣を包み込んで送るとアイスは溶けることなく、
均一に冷却でき、鮮度の低下を押さえることができるのだそうです。
 

これが魔法の氷「スラリーアイス」です。


長々と書きましたが、それだけすごい鮮度管理と発送の仕組みです。
安全で新鮮な牡蠣を味わっていただきたいと言う
山小三とバル.ジャパンさんの思いは参加者に着実に届きました。

初めて開催した「コラボレーションミーティング」ですが、
ここから会員同士の新しいコラボレーションが生まれそうです。

 
株式会社 クエストリー:http://www.questory.co.jp

クエストリー・ブランディングクラブ:http://www.questory.co.jp/tabid/120/Default.aspx
 

2013年11月29日(金)更新

好き、且つ得手(小椋佳さんのコラムより)

「小さくても光り輝くブランド」を支援しているクエストリーの櫻田です。
 
PCのサーバでデータを探していたら、
10年前の2003年11月17日に書いた取引先への定期的なレポートの原稿が出てきました。

作詞家で作曲家の小椋佳さんの新聞のコラムに触発されて書いた原稿ですが、
何気に読み返したら、結構いいことが書いてあります。

と言うよりも、ほとんどコラムの引用ですが・・・。



 
このレポートは、出来るだけ他からの引用を少なくして書くことを心がけていますが、
今回は思わずうなってしまう新聞のコラムがあったので引用します。
 
お読みになられた方もいるかも知れませんが、
出典は11月13日(木)の日経新聞・夕刊1面の“明日への話題”というコラムです。

タイトルは「続・好き、且つ得手」、書き手は作詞・作曲家の小椋佳さんです。
一時期、癌との報道があったのですが、お元気そうです。ではコラムから一部を抜粋します。
 
“前回、新時代を上手に生きる方策の一つとして、「好き、且つ得手」なものを身につけようと書いた。
そのことは「言うはやすし」であるとも書いた。

(中略)得手になるには無論、好きになることも、
どうやらちょっとかじってすぐやめるという態度では果たせないもののようである。”
 
ちなみに、小椋さんは琵琶語りを身につけて老年はその演奏旅行を行うという計画があるそうです。
しかし、琵琶語りを習い初めて8年になるのにうまくいかないと書いています。

さて引用の続きです。
 “言葉遊びのきらいはあるが、必要なキーワードとして
「シンボウ」という言葉を挙げられそうである。

まず「辛抱」、地味で地道な修行に耐えること。
次に「信望」、何事も一人では果たせない。先輩や仲間たちとの信頼関係を構築すること。
 
そして「心房」、健康管理は常に肝要。さらに「心棒」、
自らの価値観の核心に照らしてそれを行うことの確たる鎖を意識すること。

付け足すならば「深謀」、好きになり得手になるプロセス、
好きになりえたとなった果ての生活についてきちんとした計画や展望を描くこと。”
 
辛抱、信望あたりまでは、当たり前に必要だと思うのですが、
心房、心棒、さらに深謀とくると、思わずなるほどと手を打ちたくなる感じです。

小椋さん自身も自分の琵琶修行がすべてこの「シンボウ」を
兼ね備えているかというと心もとないと告白しています。
 
その上で小椋さんは“好き、且つ得手なものの獲得は、
どなたにとっても新時代に回避し得ない困難な挑みというのがふさわしいようである。”
と最後に書いています。
 
このコラムの趣旨は、生き方の方策ということで書かれていますが、仕事も同じではないでしょうか。
仕事をイキイキと楽しんでいる人と出会って感じるのは
「好き、且つ得手」の2つの条件のうちのまず好きであることを確実にクリアしていることです。
 
得手かどうかは簡単にはわかりませんが、
好きならば少々の苦労は苦労と思わないという姿勢であることは間違いありません。
それに、いまよりもよくなることを貪欲なくらい考えています。
 
自分はどうかと、あらためて自問自答してみると、
「好き、且つ得手」であるといいたいのですが、
「嫌い、且つ不得手」と思うときがたびたびあります。

まあ、そういう時は疲れがたまり、思い悩むことが多々あるときです。
そんなときはゆっくりと休養を取れというサインかなあと最近は感じるようになって来ました。
 

2013年11月22日(金)更新

群馬県上野村の鍾乳洞「不二洞」に行ってきました。

「小さくても光り輝くブランド」を支援しているクエストリーの櫻田です。
 
仕事でいろいろなところに行く機会があります。
しかし、鍾乳洞に入るとは思いませんでした。
何か前回の「ワインツーリズム山梨」に続いて紀行ブログのようですが・・・・。
 
群馬県の南西部の多野郡に上野村という人口1,300人ほどの村があります。
群馬県で最も人口が少ない自治体で、平成の大合併のときに合併をしないという宣言をしました。
仕事のご縁があって今月の12日(火)に上野村を訪問しました。

上野村→http://www.uenomura.ne.jp
 
遠そうに感じるかもしれませんが、
東京駅から高崎駅まで上越新幹線で約1時間、そこから車で1時間半、
合わせて2時間半で到着しますから思ったよりも近いのです。
道路も整備されていますし、快適な小旅行気分でした。
 
上野村の魅力は何と言っても豊かな自然です。
総面積の94%が森林であり、古くから良質の木材の産地として知られ、
江戸時代徳川幕府の天領となっておりました。
 
この頃より「木地師(きじし)」と呼ばれる人たちが在住し、
いろいろな木工製品を作っていたそうです。(下の右の画像は木地師の墓)
いまでもこの伝統を受け継ぎ、村には多くの木工家が在住して木工製品を制作して販売しています。

  

さて、この上野村には不二洞と言う鍾乳洞があります。
洞内の延長2.2km、関東一の規模を誇ります。

鍾乳洞の入り口は頑丈な鉄の扉で塞がれており、開けると奥へ奥へとつながっており、
まるでタイムトンネル、胸が震えました。

  
 
鍾乳洞というと高校の修学旅行で行った秋吉台を思い出しますが、
この不二洞は縦穴式の鍾乳洞です。

洞内は大きく複雑で鍾乳石の大きな柱がそそり立つ大殿堂や、
やっとくぐりぬけられる小さな支洞など、まさに見どころ満載。

平成4年には新支洞が発見されるなど、 多くの支洞が複雑に発達し、
いまなお全貌を現さない迷宮型の鍾乳洞です。

  

約1200年前の平安時代からその存在が知られていましたが、
いまから400年ほど前、藤原山吉祥寺の僧、中興開山上人が始めて最奥部まで足を踏み入れ、
この洞窟を世に広めました。その後は修行の場として利用されていたそうです。

   
 
そのため洞内45か所には仏にちなんだ名称が名付けられています。
それがまた何とも言えない雰囲気を醸し出しているのです。
もうすっかり気分はインディ・ジョーンズでした。
 
こんな仕事ならいくらやってもいいなあ。
もちろん上野村には不二洞以外にもいくつもの価値のタネがあります。
それを見学しながら、もしかしたら上野村とご縁が深まるかも・・・と期待しています。

2013年11月11日(月)更新

「ワインツーリズム山梨」に行ってきました。

「小さくても光り輝くブランド」を支援しているクエストリーの櫻田です。

 
11月9日(土)、10日(日)の二日間、「ワインツーリズム山梨」に行ってきました。
今年で6回目の開催ですが、僕は一昨年から参加しているから3回目です。
二日目は雨が心配されたのですが、青空も見える天候でした。
 
僕の故郷、山梨県は日本のワインの発祥の地です。
県内には約80社のワイナリーがあり、国内の約3割のワインを生産しているそうです。
山梨産のワインは最近は海外でも高い評価を受けています。


今年の「ワインツーリズム山梨」には5つのエリアの49のワイナリーが参加しています。 
その規模はさまざまで大手のグループ会社もあれば、
家族だけで作っている小さなワイナリーもあります。

今年は初日は仕事で午後から参加だったので4ヶ所のワイナリー、
二日目は初参加の山梨市の7ヶ所のワイナリーを巡りました。

試飲とはいえ、ワイナリーを巡るうちにかなりの量のワインを飲んでいます。
それでもさほど酔わないのは、秋の風景を楽しみながら
ぶらぶらと歩きながらのツアーだからだと思います。

  
  
 
途中、「ワインツーリズム山梨」の総合プロデューサーの大木貴之さん(セツゲツカ 代表)や
山梨県観光部ブランド推進課の佐藤さん、他にも何人かの知り合いにお会いすることができました。
 
ちなみに、大木さんは甲府で人気の「フォーハーツカフェ」のオーナーでもあり、
拙著の「小さくても光り輝くブランド」でもブランディング事例として紹介させていただいています。 
 


「ワインツーリズム山梨」とは何か?
これについてはこちらをご覧ください。明確な趣旨が定義されています。
この種のイベントが継続されるためには、こういう考え方の部分を明確にするのがすごく大事です。
http://www.yamanashiwine.com/about.html
 

なお、「ワインツーリズム山梨」は日本デザイン振興会の
今年度「グッドデザイン賞ベスト100」に選ばれました。

単なる人を集めるだけのワインイベントではなく、
地道な活動による地域ブランディングへの取り組みが評価されたのです。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/131031/ymn13103102100000-n1.htm
 
 

2013年11月04日(月)更新

マスキングテープ「mt」はどうやって生まれたのか?

「小さくても光り輝くブランドをプロデュースしている」クエストリーの櫻田です。
 
当たり前ですが、世の中には知らない世界が山ほどあります。
その一つが先日の「mt博」で初めて知ったのはマスキングテープです。
正直申し上げてマスキングテープをなめていました。こんなに多様性と拡張性があるとは知りませんでした。
 
今年の4月に入社した女性メンバーの大西が「マスキングテープ、マスキングテープ・・・」と
その素晴らしさを語っているのは知っていました。
今週初めには月島で開催している「mt博」に行って来た話を他のメンバーに語っていました。
 
それに刺激されたのが同じくメンバーの金田。
「いっしょに行こう」とかなり無理やりに「mt博」に連れて行かれたのです。
 
 
でどうだったかと言うと、自分の目で見なきゃあわからないものです。
なんだこの世界は言った感じ。久しぶりに軽い衝撃を受けました。
下記の画像は全部マスキングテープでデコレーションされています。
 
  

会場は女性比率が99%、しかもそのうちの80%以上はおそらく20代。
所在なげに会場にいる男性は僕と同様に連れて来られたのでしょう。
お互いに時折り、苦笑がちに目線を合わせています。
 
会場の雰囲気もあるのかもしれませんが、女性たちは大声を上げるわけではなく、
求道者のように黙々とマスキングテープを選び、展示作品を観ています。
 
そもそもマスキングテープの僕の概念は、マスキングの言葉通り、
主に工事やプラモデル製作の際の塗装に使用するもの。
 
基本的には地味な業務用やマニアックな個人用というイメージがありました。
どちらかと言えば、男性の匂いがする品ですd。
 
ところが今回マスキングテープの概念が一変しましたね。
若い女性にとって「mt」はまさにブランドなんですね。
まあ、このあたりは言葉で説明してもわからないと思いますので、画像を見てください。
若い女性たちが惹かれる理由がわかります。

  

今回の「mt博」の主催者は岡山県倉敷市に本社がある「カモ井加工紙株式会社」。
気になったので、同社のホームページやファンのブログを調べてみました。

大正12年創業の「カモ井加工紙株式会社」のスタートはなんだと思いますか?
実は「ハエ取り紙」のメーカーでした。そうです、あのぺらぺらした紙にハエが止まるやつです。
昭和40年から50年頃は国内シェアNo.1だったそうです。
 
しかし、その後、日本の衛生状態が急激によくなりハエ取り紙の需要は激減。
強い危機感を抱いた同社は粘着紙技術を生かして建設現場や製造メーカーなどでは
おなじみのマスキングテープを発売。全国第2位のメーカーに成長したのです。
ある意味ではこれが同社にとって第2の創業ですね。
 
さて、2006年に東京から3人の女性が工場見学を希望してやってきました。
彼女たちはデザイナーとアーティストとカフェオーナー。熱列なマスキングテープのファンだったのです。
 
彼女たちの目的は工場見学だけではなく、オリジナルマスキングテープが作りたいというものでした。
しかし、マスキングテープは工業製品で、同社が製造していたのは生産ロットの大きい業務用でした。
 
彼女たちは小ロットのオリジナルを諦めて帰っていきました。
しかし、工場を案内した社員には
「これは新しいビジネスチャンスかも」とピンとくるものがありました。

  

この社員は社内の反対の声を説得し、1年半をかけて3人の女性たちと悪戦苦闘の末
2006年にマスキングテープ「mt」シリーズを作り上げたのです。
 
同社が発表した「mt」シリーズは、実にファンシーでカラフルでした。
従来のマスキングテープの概念を一気に変えるパワーを持っていたのです。
 
販路はこれまでの大手企業やホームセンターではなく、
小さな雑貨屋さんやカフェを対象にしたのです。
 
しかし、大手とのビジネスが主流だった同社にとっては、
小さくて手間のかかる新しいビジネスは、これまでの営業とはまったく勝手が違いました。
小売店を対象にした手間のかかるビジネスに現場からは不平不満が次々と噴出します。
 
 
しかし、カリスマ的なマスキングテープファンにより、
マスキングテープの魅力や使い方をまとめた本が次々と出版されると状況は一変しました。
ファンサイトも開設され、何とファンレターが会社に届くようになったのです。
 
さらに2008年にはグッドデザイン賞を受賞。
パリの世界的なインテリアの見本市「メゾン・エ・オブジェ」にも出展すると
人気に大きく火がついたのです。
いまでは、国内の雑貨屋や文具店だけにとどまらず、海外からも定期的に注文が入るそうです。
 
「mt」シリーズは、広告の力を一切使うことなく、
熱烈なファンの口コミだけで大きな売上げにつながったのです。

そういう意味ではマスキングテープの新しい世界を作り上げたのもファンですが、
「mt」をブランドに育てたのもファンなのです。

「マスキングテープ mt」  http://www.masking-tape.jp/
「カモ井加工紙株式会社」 http://www.kamoi-net.co.jp
 

2013年11月01日(金)更新

新店舗オープンに「ちんどん屋さん」登場

「小さくても光り輝くブランド」をプロデュースしているクエストリーの櫻田です。


今日はクエストリーがブランディングのコンサルティングをしている
紬のきものの専門店「衣裳らくや」さんのグランドオープンでした。

同店の店舗のコンセプトについては先日ブログに書きましたので、こちらをご覧になってください。
http://questory.keikai.topblog.jp/blog_detail/&blog_id=7&id=217


グランドオープンに当たり、同店が準備したのはチンドン屋さんです。

今回の移転の前は人形町にお店があったのですが、
そのときのオープン時にもチンドン屋さんにチラシを配ったもらったので、
今回もチンドン屋さんにお願いしたいと相談を受けました。

正直言って話しを聞いたときには、「えっ、チンドン屋さん?」と思ったのですが、
あえて反対することでもないので、そのままGOということになりました。



しかし、このチンドン屋さんがいいのです。

チンチンドンドンという太鼓や鐘の音に、サックスの音色が重なり、
​何とも言えない懐かしさを感じると同時に、気持ちがワクワクと騒ぎだす感じです。

お店の近くから、甘酒横丁界隈、前店舗があった人形町駅付近まで練り歩いて、
チラシを配っていただいたそうですが、
多くの通行客が足を止め、写真を撮ったりしていました。



もちろん、新店舗の宣伝効果もばっちり。
あらためて、こちらの見識不足を思い知らされました。
既成概念で物事を見てはダメですね。・・・反省!
 

2013年10月31日(木)更新

「巴潟新聞」8号発行、やっぱりブランドは継続力です

「小さくても光り輝くブランド」をプロデュースしているクエストリーの櫻田です。

東京・両国の「ちゃんこ巴潟」さんのブランドデザインを担当して3年が経ちます。
「ちゃんこ」「相撲」「両国」ですから、ある意味ではかなり特殊な分野での商売です。
特殊な分野ということは、言い方を変えれば取っ付きにくいということです。


 
しかし、先ほどの3つは知れば知るほど奥が深い世界でもあります。
同店の主力メニューであるちゃんこの世界、それのバックボーンである相撲界、
そして店舗がある東京・両国・・・かなりマニアックでディープな世界ですよ。
 
いまでは違ってきていると思いますが、
例えば、相撲の世界では場所中は4つ足の豚や牛は食べなかったそうです。
なぜかというと、手を着く=負けというイメージだからだそうです。
まあ、一種のげん担ぎですね。
 
さて、この奥深い世界観を伝えるためにはどうしたらいいのか?
これがブランドデザインの課題でした。

のれん、のぼり、ショップカード、座布団、コースターなどの見直しと平行して
クエストリーが提案したのは「巴潟新聞」の発行でした。
 
インターネットも重要な情報発信ツールですが、
あえて印刷媒体にしたのは、比較的年配の方のご利用が多いこと、
すでに巴潟会員という組織があり、ここが口コミの源になりそうだと言う読みがありました。
 

1年に3回の発行で、11月に発行するのが8号目となります。
テーマが見つからない、コストがかかる、文章が多過ぎないか?・・・
発行過程ではいろいろな課題はありましたが、
楽しみにしているというお客様の声が8号まで続けられた理由でもあります。


 
ちなみに8号では、同店の人気メニューである塩味ちゃんこ「国見山」のルーツの紹介、
そして行司の最高位の立行司37代、木村庄之助さんのインタビュー、
和の文化イベント「巴潟ちゃんこ寺子屋」の開催報告などを掲載しています。


 
往々にしてこの手のツールは、顧客とのコミュニケーションを目的にしながら、
いつの間にか販促ツールになってしまいがちです。
しかし、巴潟新聞は販促色を出来るだけ少なくし、じっくりと読んでいただく紙面に徹しています。


 
巴潟会員には郵送していますが、ちゃんこ巴潟のテーブル席やレジ横にもおいてあります。
寒さが日増しに強まる季節、どうぞ、「ちゃんこ巴潟」でおいしいちゃんこ鍋を食べながら、
この巴潟新聞にぜひお目を通してください。

ちなみに、会員になれば定期的に送ってくれますよ。お得な割引クーポンももらえます。
ちゃんこ巴潟→http://www.tomoegata.com/map_coupon/

 

2013年10月30日(水)更新

コンセプトは「呼吸する店舗」

「小さくても光り輝くブランドをプロデュースしている」クエストリーの櫻田です。
 
クエストリーが
コンサルティングで関わらせていただきました、
紬のきものの専門店「衣裳らくや」さんの新店舗が本日プレオープンとなりました。
場所は、東京の歴史あふれる町、浜町です。甘酒横丁を抜けたところにあります。



今回の店舗開発で大事にした考え方は「呼吸する店舗」です。
店は生き物です。生き物である以上、呼吸するようにその表情を変えます。
勘違いして欲しくないのは、経年劣化という意味ではありませんよ。
 
店が人々を引きつける要素は、立派な外観でも、美しい内装でもなく、
店舗そのものが持っている情報の発進力です。

ディスプレイや演出もそのひとつですが、
今回の「衣裳らくや」の店舗では、もう一歩踏み込んだ考えを店内に盛り込んでみました。

 
四季のある日本の豊かな季節感は、自然と一体となった独特の文化を作り出しました。

そのひとつが、1年間を「十二ヶ月」に分け、さらに24等分し15日に分けた「二十四節気」、
それをさらに約5日ずつの3つに分けた「七十二候」と言う季節の考え方に現れています。
 
僕たち日本人は、無意識のうちに、
十二ヶ月、二十四節気、七十二候を感じながら、生活をしています。
例えば、立春、立秋、冬至と夏至とか・・・ですね。



本来、季節感を背景にして作られ、生活に根ざして着用されてきたきもの自体が文化なのですが、 
新店舗では、もう一歩踏み込み、日本独特の暦の力を現代に編集し、
お客様の生活にそっと寄り添いながら、毎日情報を発信し続けられないかと考えたのです。


と言っても空間も、予算も限られています。
大げさではなく、小さな遊び感覚の楽しい情報発信です。

まずは、1階から2階への階段に「12の和の物語」というミニギャラリーを設けました。
毎月テーマを変えて写真や絵画を展示いたします。
いまは、らくやブランドのひとつ「倉渕紬」の出来上がるまでの物語を写真で紹介しています。


 
また、今回とくに力を入れたのが「24の和のお稽古」です。
「二十四節気」にちなんで、きものの着付け教室だけではなく、
和に関する様々なカルチャー教室を開催します。その数が24講座あるのです。
 
1階には、小さな「和の文庫」をもうけました。
「七十二候」のように、5日ごとにテーマを変えて、らくやが選んだ本を展示します。
現在は、近くの明治座が11月に歌舞伎を開催するので、歌舞伎に関するおすすめ本が並んでいます。


 

そして、忘れてはならないのは、365日のスタッフの着物姿の笑顔です。
これはオープンの案内状の表紙をご覧いただければおわかりになると思います。
みんなすごくいい笑顔ですよ。


 
さて、これからが本番です。
お近くにお越しの際は新しくなった「衣裳らくや」にぜひお立ち寄りください。
 
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会社概要

(株)クエストリーは2003年に「店がブランドになる」ことを支援・プロデュースするために設立されました。「店がブランドになる」ためのプロセスをわかりやすく整理し、具体的な成果につながるコンサルティング、プロデュース、クリエイティブを展開しています。代表取締役の櫻田弘文は、これまでに300社以上...

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個人プロフィール

1955年生まれ、自然豊かな山梨県南アルプス市で育つ。高校卒業後、大学に進むが、学業には目を向けず、芝居に夢中になる日々を過ごす。大学卒業後、広告・マーケティング会社に入社。5年区切りで、コピーライティング、広告プランニング、マーケティング、店舗開発、マネージメント指導などの業務を経験する。2...

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  • 『売れ続ける理由』 from なにわの社労士発~「今日もこんなええことありました」
    売れ続ける理由~一回のお客を一生の顧客にする非常識な経営法クチコミを見る 『売れ続ける理由~一回のお客を一生の顧客にする非常識な経営法』を 読みました。 著者は仙台市から...
  • 【ブログピックアップ】クエストリー 櫻田弘文さん from 経営者会報ブログ編集部
    「ブログピックアップ」では、 経営者のみなさんの書かれたブログの中から、 お薦めのブログをご紹介しています。 今回のお薦めブログは クエストリーの櫻田弘文さんです。  ...