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2012年05月29日(火)更新

「NIKE:ナイキ」のブランドネーミングとロゴデザインの魅力

「人々が幸せになるブランドをプロデュースしている」クエストリーの櫻田です。

今回はブランディングには「ネーミング」と「ロゴデザイン」がすごく大事という話です。



「NIKE:ナイキ」と言えば、いまや世界最大のスポーツブランドメーカーですね。
その「ナイキ」のブランドネーミングとロゴデザインが以前から気になっていました。
調べてみるとその誕生のバックストーリーはなかなか興味深い。
 
「NIKE」の創業者の「フィル・ナイト」はスタンフォード大学の修士論文を書いている時に
「プーマ」「アディダス」などドイツの大手メーカーが独占している競技用シューズの市場に、
低賃金の労働力で効率的な生産を行えば参入できると考えました。
 
スタンフォード大学を卒業後、「フィル・ナイト」が修士論文を実現するために選んだのは
何と日本のメーカー、「オニツカタイガー(現在のアシックス)」でした。
彼は1962年に来日し、、「オニツカタイガー」にシューズの発注を行っています。
 
1964年に日本から帰国すると、彼は大学時代のコーチ
(「フィル・ナイト」はもともと将来を嘱望された優秀な陸上選手でした)の
ビル・バウワーマンとチームを組んでブルーリボンスポーツ社を設立します。

そしてここからがブランディングの話。
1971年に社名を「NIKE」に変更するのですが、
「NIKE」の由来はギリシャ神話の勝利の女神「NIKE:ニケ」をアレンジしたものです。
 
「NIKE]と言うネーミングに独特の物語が漂ってきます。

さらに「フィル・ナイト」は、1972年に「NIKE」をブランドとして売り込むために、
グラフィックデザイナーを始めたばかりの「キャロライン・デビッドソン」にロゴのデザインを依頼します。
 
これが現在の「NIKE」のロゴマークです。

デビッドソンはこのロゴを「ニケ」の彫像の翼をモチーフにデザインしたといいます。
「NIKE」のロゴはいまでは「勢いよく動く」という意味の「スウッシュ」と呼ばれていますが、
シンプルでありながら、躍動感やスピード感を上手に表現したデザインですね。
 
ちなみにデビッドソンに支払われたデザイン料は35ドルでした。
しかし、12年後の1983年に「フィル・ナイト」はデビッドソンを昼食会に誘います。
そこで彼女を待っていたのは、ダイヤモンドと金で出来た「スウッシュ」の指輪と「ナイキ」の株だったのです。

「NIKE」の成長を支えたのは卓越したマーケティングですが、
ネーミングとロゴデザインが果たした役割も大きいと思います。
 
最後に「フィル・ナイト」のブランドの本質を突いた名言をご紹介しますね。
 
消費者がなぜ『ナイキ』の商品を買うのか、契約選手がなぜ『ナイキ』を愛用するのか。
それは理屈の問題ではない。
なぜか『ナイキ』を好きになる、なぜか『ナイキ』を買いたくなる、なぜか『ナイキ』を履きたくなる。
すべては感情の問題、すなわち“エモーショナル・タイ(Emotional Tie=感動の絆)”である。