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2014年04月23日(水)更新

「至り尽くせり」ではなく「至らず尽くさず」

「小さくても光り輝くブランド」をプロデュースしているクエストリーの櫻田です。

 
「至らず尽くさず」

これは3月に開催したブランディングセミナーで「ワインツーリズムやまなし」の
プロデューサーの大木貴之さん(LOCAL STANDARD株式会社 代表)が講演で語った言葉です。



ワインツーリズムやまなしのコンセプトは「至らず尽さず」、
普通は「至り尽くせり」ですよね。
 
お客様満足の前提にあるのは、まずはお客様に負担や迷惑をかけないこと。
その上で、さらにもう一つ上の満足を提供するのが普通です。

お客様の求めていることを先回りして解決する取り組みですね。
そう考えると「至り尽くせり」になるのがやっぱり一般的です。

 
では、なぜ「至らず尽くさず」なのでしょうか。
大木さんは「ワインツーリズムやまなし」の目的を次のように語っています。

「ワインツーリズムやまなしが取り組んでいるのは、
単なるワイナリー巡りのようなプログラム作りではなく、
ワイナリーのある地域全体を楽しめるようにすることです。」
 
そのために大木さんたちが用意したのは、地域をめぐるためのツーリズム当日だけのバスルート。
それと地域のマップとワイナリーのガイドブックです。

もし「至り尽せり」の発想であれば、案内ガイドも必要になるかもしれません。
 
しかし、あえて過剰なおもてなしやサービスをしない、
いや限られた資金と人材力ではできないと言った方がいいのかもしれません。

しかし、しないこと、できないことが
参加者にとって心地よい体験を生む仕組みづくりになっているのがすごい。
 
例えば、バス停はあえてワイナリーの前には置かず、
地域を歩いてもらえるようなルートで設定してあります。

「住んでいるように歩いた方が魅力的になる。地図を片手に迷うのも面白い」と大木さんは語ります。

 

これまで「ワインツーリズムやまなし」に3回参加をしましたが、
「あそこのワイナリーに行き、そのあとこの店で食事をとる・・・」
毎年自分でコースを作るのも楽しみのひとつです。

道に迷って、地元の人に聞いたことにより、
思いがけない会話に発展したこともあります。

 
「至らず尽くさず」は「ワインツーリズムやまなし」のことだけでしょうか。

提供者側が目の前の短期的な「お客様満足」を徹底することにより、
利用者側が考える余地を失ってしまってことがたくさんあります。


便利、簡単、わかりやすいが必ずしもいいこととは限りません。
お客様は何から何までやってもらうことを望んでいるわけではありません。

ご自分で考え、ご自分でやっていただくことも、満足の一つになります。
大事なのは目指すべきコンセプトを実現するために、何が本当に必要なのかという問いかけです。

 
その問いかけがないまま、単純に引き算をすると、
提供側が手を抜いたとしか思えないものになってしまいます。

提供者側も利用者側もともにハッピーになれるポイントを
導き出すことがお客様満足の本質だと思います。




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