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2012年07月15日(日)更新

「レイモンド・チャンドラー」の創り上げた世界観

「人々が幸せになるブランド」をプロデュースするクエストリーの櫻田です。
 


昨日、有楽町の三省堂書店で並んでいる本を見ていて感じたことですが、
「推移小説」はたくさん出版されているけど、
「探偵小説」というジャンルはどうもぱっとしなくなってきていますね。
その代わり警察小説が増えたかな。
 
「探偵小説」の作家といえば、その代表格は1930年代に
探偵「フィリップ・マーロウ」を生み出した「レイモンド・チャンドラー」です。

日曜日の午後、急に読みたくなって、
自宅の本棚の奥から「さらば愛しき人よ」を取り出してみました。
 
ページをめくると、あらすじはあまり覚えていないけど、
「マーロウ」を初めとした登場人物の性格や考え方がかなり詳しく書かれていることに気が付きます。

「推移小説」は謎解きがおもしろさですが、「探偵小説」では謎解きは付け足し程度のようにも感じます。
 
ワクワクするような派手なストーリーで一気に引っ張られるではなく、
犯罪現場の家具や調度品、街の風景やその雰囲気、登場人物の着ている服や言動などが
一つひとつ積み上がってその世界に惹きこまれて行くのが「チャンドラー」の魅力です。
 
「タフでなくては生きていけない。優しくなくては生きる資格はない」
この有名な言葉も「マーロウ」の生きるスタイルを表現するために創作されたもの。

「長いお別れ」の原稿が長すぎるという編集者に向かって「チャンドラー」がおもしろいことをいっています。
 
「作品の長さを三分の一に縮めるなんて、そんな馬鹿なことはできません。とんでもない。
そんなことをすれば、その小説は、アンチョビー、パルメザンチーズ、ガーリック・クルトンの入っていない
シーザーサラダと同じになってしまいますよ。
それともニューヨークには、シーザーサラダってのはないのですか?」
 
登場人物の、大事にしている、譲れないこと、守り続けること・・・・
これらを積み上げて、ひとつの世界観を創り上げていった「チャンドラー」。

もちろん、小説と現実は違うけど、
これって店や企業のスタイルづくりと共通しているように感じますね。



 
これは映画の「さらば愛しき人よ」・・・よかったなあ。
「ロバート・ミッチャム」と「シャーロット・ランプリング」が
小説の雰囲気をうまく出しています。
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