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2017年01月23日(月)更新

苦戦が続く百貨店の今後をちょっと考えてみた

日本百貨店協会が20日発表した2016年の全国百貨店売上高は、
全店ベースで前年比3.2%減の5兆9780億円でした。

6兆円を割り込むのは1980年以来の36年ぶりだそうです。


商品別では衣料品が6.1%減、家具や家電などの家庭用品は5.4%の減少です。
ここ数年売り上げに貢献してきた訪日外国人の爆買いもすっかり影を潜め、
免税品の売上は5.3%減の1843 億円に留まりました。

ちなみに、2016年の年末商戦の12月の全国の売上高は、
既存店ベースで前年同月比1.7%減となり、10カ月連続のマイナスだそうです。


百貨店の年間売上高のピークは1991年の9兆7130億円で、
それ以降は右肩下がりに減少しています。

その背景には人口減や消費の低迷のほか、
ユニクロなどの専門店やインターネット通販の台頭などがあります。

でもこれらの外的要因だけではないように感じます。


会社の近くの銀座三越の12月も前年対比97.6%。


かつて、百貨店へ行くことが楽しさの象徴だった時代がありました。
しかし、いまは行ってもワクワクしません。

すべてがそうだとは思いませんが、品揃えはどこにでもあるようなものばかりだし、
売り場にも工夫がないし、ディスプレイも冴えません。

販売スタッフもどこか他人事のような接客です。
まあ、派遣が多いのだから仕方がないことかもしれません。

以前ブログで、元旦の西武の新聞広告のことを書きましたが、同じような印象です。
http://questory.keikai.topblog.jp/blog_detail/&blog_id=7&id=503


当たり前のことですが、楽しいところには人が集まります。
いま人が集まるのは、何かしらの新しい体験ができるところです。

例えば、昨年オープンした代官山の「ファミリア代官山店」もそのひとつです。
https://www.familiar.co.jp

各地で工場見学が人気ですが、これなどは体験型の最たるものだと思うなあ。


ファミリア代官山店のサイトからお借りしました。


そして、人が集まれば一種のコミュニティが生まれます。
SNSでつながり、仲間意識のようなものを共有するわけです。

とくに人と人のつながりが希薄になったいま、
買い物の前にいい関係を満たすものがなければ、行く必要性を感じないのです。

となると、買い物だけを前提とした店は苦戦するのは当たり前、
ネットで充分ということになるわけですから。


日本百貨店協会はこう語っています。
6兆円はビジネスとして成立するかの分岐点だ。
店舗の運営の仕方や顧客を拡大するための改革などをしていかないと減少は止まらない。


個人的には改革のポイントは、先ほどの「体験をプロデュース」することだと思う。

これは百貨店だけでけのことではなく、
多くの小売りの場面に求められているのは、体験を軸にしたコミュニケーションです。


問題は、手間も人も時間もかかることなので、百貨店がやり切れるかどうかです。
体験から購買に結びつける仕組みも簡単そうで難物の課題です。

果たして百貨店は起死回生の改革ができるのでしょうか。

2017年01月14日(土)更新

「ていねい」って何だろう?  

今日も出社前にマンションに隣接しているクリーニング店に立ち寄りました。

「櫻田さん、おはようございます」とすぐに名前を読んでくれるのはうれしい。
事務処理もテキパキとして好感が持てます。
 
代金を支払った後に、引き換え伝票をもらうのですが、
必ず折り畳んで、ケースの中に入れてくれます。

店を出る時には「櫻田さん行ってらっしゃいませ」と明るい声で送り出してくれます。
 

「ていねいな接客」ってこういうことなのだろうと思う。
つまり、他が何となくやっていることを、意識してやることです。

たぶん、日常の暮らしや仕事も同じなんだろうと思う。
 

ドアの開け閉めをていねいにやる。紅茶をていねいに淹れて、ていねいに味わって飲む。
ワイングラスをきれいに磨く、部屋の空気をこまめに入れ替える・・・。
 
 

資料をきちんと揃えて止める、メモをていねいに取る、PCの連絡帳を整理する、
気に入っている本をていねいに再読する、電話にていねいに出る・・・。


 
そんな毎日のことを、ちょっと意識するだけで、
暮らしや仕事が変わってくるような気がします。

ここまで書いたところで、紅茶が飲みたくなたので休憩です。
もうひと仕事終わらせて、今日は早めに帰ります。

2014年07月10日(木)更新

販促費を削って、顧客との関係維持費を増やす

「小さくても光り輝くブランドをプロデュースする」クエストリーの櫻田です。


昨夜は飲食関係のお取引先の専務さんと会食でした。
6月が決算と言うことで、その報告と新年度の計画についてのご相談でした。

決算は売上が目標対比で3%アップ、営業利益は目標にはほんの少し届かずと言う結果。
数年前の苦戦していた時期を知っているだけに立派な数字です。

ブランディングのお手伝いをしているこちらも本当にうれしかったです。
「ブランディングが浸み込んでいくには数年かかるね」という専務さんの言葉に納得です。


新年度は数年後に店舗の立直しを計画しているので、
何としても前期以上に利益を出さねばということでした。

売上が急速に述べる要因が少ない中、利益体質を強化するには
自ずと計画は原価率の見直しと経費の縮小に向かいます。

仕入れ努力とロスの排除で原価率はまだまだ改善できるとのこと。
話題は経費の縮小についてになりました。


そこで気になったのが、広告宣伝費と販売促進費の縮小のこと。

お話を聞いていると、上記の費用の中に
顧客との関係維持費も含まれていることがわかりました。

経理の科目では広告宣伝費、販売促進費はありますが、
顧客との関係維持費はありません。

ムダな販促費や効果の低い宣伝費はもちろんカットすべきですが、
顧客との関係維持費はむしろ増やす必要があると説明をいたしました。

これまでの経験では、ここをカットすると顧客の来店率が目に見えてダウンします。
結果的には、離反客が増え、ある日突然ガクンと売上が落ちていきます。

一度、離反したお客様を再度取り戻すには相当のエネルギーとコストがかかります。




専務さんとは、近々、広告宣伝費、販促費、顧客関係の維持費の
内訳と費用の実績をきちんと出して、
いっしょに一つひとつ精査することでこの話しは終わりました。

「販促費はカットしても、顧客関係維持費は増やす」
これは大事なキーワードですよ。


7月17日(木)13:30~17:00まで開催します



クエストリー:http://www.questory.co.jp



クエストリー・ブランディングクラブ
http://www.questory.co.jp/tabid/120/Default.aspx

 

2012年10月02日(火)更新

細分化、細分化、細分化

 「人々が幸せになるブランド」をプロデュースしているクエストリーの櫻田です。
 
本日2度目のブログ更新です。

お手伝いをさせていただいているお店や企業の業績を聞くたびに、
売り上げや利益に一喜一憂するのではなく、
まずは事実をきちんと整理することの重要性を感じます。
 
不振を嘆く声が聞こえてきますが、すべてが悪いわけではありません。
その反対もまたしかりです。

さほど落ち込みが大きくないところもあれば、ひどいところもあり、
総体的に見て経営者は厳しい状態という判断をしているケースが少なくありません。
 
具体的な対策を立てる前に、ひとつひとつ分解する必要がありますね。

どこはうまくいっているのか、何が不振なのか、出来ていてところはどこで、
うまくいっていないのはどこか、これをきちんと把握することです。
 
これをしないまま、対策を立てても焦点が絞られずに徒労に終わってしまいます。

大事なのは結果を細分化してみることですね。

「細分化、細分化、細分化」、これがキーワードですよ。



2009年09月11日(金)更新

うん、これだね

「店がブランドになる」ことを支援・プロデュースしているクエストリーの櫻田です。

ずいぶん以前のことですが、あるブティックで社会人になる女性が
初出勤のスーツを購入するところを撮影した映像を観ました。

購入条件はデザイン、価格、着やすさなど様々ですが、接客した女性スタッは、
どんな会社なの?、お仕事の内容は?、会社の雰囲気は?、通勤方法は?、通勤時間は?
そんな質問をさりげなく繰り返します。

そして、お客様の答えを確認しながら、いくつかの商品を提示し、絞り込んでいきます。

姿見の前でひとつずつスーツを当ててみるお客様、
後ろに回りいっしょに鏡を見ながら雰囲気を確認する販売員。
そして、最後に二人が笑顔でうなずきながら、口をそろえていったのが
「うん、これだね」という言葉でした。

お客様がご来店し、商品をご覧になり、お買い上げいただく。
代金をいただき、「ありがとうございました」と声をかけてお見送りをする。
これで商売は終了でした。

しかし、いまはこの基本の接客の流れに加えなければならないことがあります。
お客様が使う場面を想定したシナリオです。
お客様の目的は購入することではなく、購入した品を使うことです。

店にとっての終わりは、お客様にとっては始まりです。

これまで店は使い方や使う場面は、
店はあまり関心を寄せなくても済んだのですが、そうはいかなくなりました。

なぜならば、商品そのものでの差別化が難しくなってきたからです。
割安感だけでは満足しないからです。売ることで終了していたご商売に、
使うことのアドバイスや情報を加えなくては、
似たようなものがあるからいいかあ、ということになってしまうのです。

しかも、お仕着せの情報や一方通行のアドバイスでは嫌がられるだけです。
「わかってないなあ」というお客様の本音に鈍感なお店は支持されません。

「お似合いですよ」とお客様に声をかけた販売員が、
「どこが?」と質問されて立ち往生している場面に出くわしたことがあります。
ご本人が使うと思っていたのに、実は贈り物だったという、
笑えないような話も販売の現場にはたくさんあります。

店は販売のプロかもしれませんが、お客様は使い方のプロです。しかも相当手ごわいプロです。

ていねいに、お客様の声に耳を傾け、仕草を観察し、
気持ちを感じ取れる販売スタッフでなければ売れません。
接客のプロには、語る能力よりも、聴いたり、感じ取る能力の方が要求されているのです。

これまでの引き出しに「使う」という新鮮な情報が詰まった引き出しを加えることです。

これがお客様を「買い手」と見ることから、「使い手」と見ることへの視点転換のひとつです。


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クエストリーのメンバーのブログです

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