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2018年05月05日(土)更新

『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』(内田洋子著)

この本との出会いは先週の土曜日、場所は銀座の教文館書店。

いっしょだった会社のメンバーが
「この本おもしろそう」ということで手に取ったのです。



まずは題名に惹きつけられ、著者を見ると内田洋子さんではないですか。

これまでに読んだのは『皿の中に、イタリア』『ミラノの太陽、シチリアの月』
どちらも読み応えのあった本、ということで即購入しました。

レジで「サイン本ですが、よろしいでしょうか」、
もちろん、よろしい、よろしいです。



すぐに読みたかったのですが、GWの楽しみに取っておきました。

あれこれあった仕事もメドがつき、読書三昧の休日の始まり、
昨日の夜、ワインとともにページを開くと、これが終わらないのです。

しかし、ワインと夕暮れのランニングで眠気が押し寄せ、途中で中断、
朝6時前に目が覚めて再読、一気に読み終えました。

途中に挟まれたイタリアの風景や書店の写真も想像力を刺激します。
こういう瞬間があるから本はおもしろい、久し振りに魅せられた一冊です。


かつて、籠いっぱいの本を担いで、イタリア中を旅した行商人たちがいた。

行商人たちはみな、イタリア・トスカーナの山深い村の出身。
その村の名は「モンテレッジオ」。

なぜ、日用品や食材ではなく本だったのか?
なぜ、栗の木に囲まれた小さな村だったのか?



著者の好奇心は歴史の彼方とイタリアの各地に広がっていきます。

著者は歴史の中で埋もれてしまっていた
モンテレッジォの本の行商人をていねいに掘り起こしていきます。

その子孫が営んでいるイタリア各地の書店を訪問し、
本が育んだ地域の文化を見聞きします。


それにしても、僕も文章を書くのが仕事の一部ですが、
内田さんの文章は嫉妬を覚えるほど魅力的・・・。

ググってみると、僕よりも4歳年下、一度会ってみたいと思うのです。

彼女がたどったモンテレッジォ、ヴェネチア、ミラノ、ヴィエッラ・・・
こちらにも旅してみたい。


もうひとつ興味深いのはこの本の出版社、
「方丈社」というのだが初めて知った。

こちらもググってみると2016年に設立され、
神保町の魚料理の老舗「魚玉」2階にあるという。

「サバ塩定食」が名物の店の2階で、この本が生まれたと思うと、
紙の本の未来もまだまだ捨てたもんじゃないね。