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2014年05月14日(水)更新

ものづくりの現場に足を運ぶことの意義

「小さくても光り輝くブランドをプロデュースしている」クエストリーの櫻田です。


実はジュエリーや宝飾について少々詳しいと自負しています。

なぜならば、大卒で入社した会社で長いこと、
その業界の販売促進の仕事に関わってきたからです。
長く関わっていれば商品知識もいつの間にか身に付きます。
 

クエストリーを設立してからも、数年間はジュエリー業界の仕事が主力でした。
ただし、販売促進ではなく、経営指導に移行しました。
販売促進はある程度商品や業界を知っていれば、後はアイディアの勝負です。
 
しかし、経営指導となるとそうはいきません。
ジュエリーができるまでのプロセスをきちんと知る必要性を感じ、
海外の展示会や工房、各地の産地や集積地を積極的に訪問しました。
一時期は3ヶ月に一度の頻度で海外に出かけていきました。


 
実際に商品を取り扱うのではないので、当初は興味と関心だけからの取材旅行が中心でした。
しかし、そのうちに感じ始めたのは、ものづくりの現場を知ることは、
単に販売や営業のための情報収集を超えたところに意味があるということです。

 
知識が深まるに連れ、ものづくりの現場が抱えている様々な問題を、
現実的な問題として捉えることができます。

その問題に自分も関わっているという当事者意識から、
流通や価格やリスクに対する疑問が生まれてくるのです。

 
例えば、南イタリアで作られているシェルカメオのプロモーションに関わった時のことです。
「シェルカメオは日本ではなぜこんなに価格が高いのか」という疑問がありました。
その理由は流通の流れをていねいに見ていくとすぐにわかりました。


 
カメオ作家が彫った作品を日本の輸入メーカーが仕入れます
(その前にイタリアの会社が買い上げるケースもあります)。

それが一次問屋に下ろされ、さらに2次問屋が間に入り、小売店のイベント催事等に並びます。

 
当然、各々の段階で利益が乗っかります。
各段階の利益幅は委託のリスクやイベントの経費負担など様々に異なりますが、
最終的に作家の出し値が8倍の価格になっていることもありました。
 
問題は8倍の価格が妥当かどうかではなく、
ものづくりの現場に遡って物事を考えることの重要性です。

そこで見えてくることを踏まえてどのようにビジネスを組み立てるかの感覚が重要なのです。

 
そういえば、ドイツのジュエリー作家を訪問した時に、
日本から直接消費者がコンタクトを取り、購入のために来社するという話を聞きました。

いくらで販売するのかという質問に、誰が来ても同じ価格という答えに驚いたのを覚えています。


  
いま考えると、取り立てて特別なことではありません。

インターネットで作り手から手軽に買える時代です。
直接作家と語り合い、工房の雰囲気を楽しみ、
時にはいっしょに食事をする機会もあるとしたら、ジュエリー好きにはたまりません。

 
これも作り手の元に直接行ったからわかることです。
安く仕入れて儲けるためにものづくりのところに足を運ぶのもいいでしょうが、
それだけではなく、世の中はどう変化しているのか、
それに対して何を変革したらいいのか、それを感じ取ることの方がはるかに意義があります。

 
ドイツの作家が言った言葉が忘れられません。
「誰が来ても100は100、それをいくらで売るのかは日本のあなたたち次第です」

言い換えれば、問われているのは自分がいくらの価格を付けても、
お客様から支持されるという価値です。

 
こういう現象を、見方によっては大変な時代と感じるかもしれませんが、
実はこれほどおもしろい時代はありません。

特に中小企業にとっては大きなチャンスです。
ぜひ、ものづくりの源に足を運び、変化の波や兆しを受け止めてください。



クエストリー:http://www.questory.co.jp



クエストリー・ブランディングクラブ
http://www.questory.co.jp/tabid/120/Default.aspx
 
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