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2012年11月08日(木)更新

「Think Different.」の次にあるもの


 「人々が幸せになるブランド」をプロデュースするクエストリーの櫻田です。

「Think Different.」とは、創業者のスティーブ・ジョブズがAppleに復帰した
1997年にスタートしたアップルのキャンペーンスローガンです。
 
このスローガンは、TVCMの他、印刷広告などでも幅広く使われ、
これに続く「Apple Switch広告キャンペーン」が始まる2002年にまで続けられました。
 
「Think Different.」というスローガンの背景には、
当時のコンピューターの巨人だったIBMのモットー「Think」があるといわれます。
これをジョブズがひと捻りしたのが「Think Different.」だったのです。
 
ジョブズにすれば、ウィンドウ全盛の時代に「他に選択肢がないの?」と消費者に投げかけると同時に、
低迷していたApple自体に活を入れる目的があったのだと思います。
 
15年も前のテレビCMですが、YouTubeでいま見ても新鮮ですね。
60秒版は、白黒のフィルム映像で構成され、
20世紀に活躍した17人の象徴的人物を取り上げています。
 
登場順に列挙しますとすごいメンバーです。

「アルベルト・アインシュタイン」、「ボブ・ディラン」、「マーティン・ルーサー・キング・ジュニア」、
「リチャード・ブランソン」、「ジョン・レノン(オノ・ヨーコと共に)」、「バックミンスター・フラー」、
「トーマス・エジソン」、「モハメド・アリ」、「テッド・ターナー」、「マリア・カラス」、
「マハトマ・ガンディー」、「アメリア・イアハート」、「アルフレッド・ヒッチコック」、
「マーサ・グレアム」、「ジム・ヘンソン(カエルのカーミットと共に)」、
「フランク・ロイド・ライト」、「パブロ・ピカソ」の17名。



 

コマーシャルは、何かを祈っているような表情の少女が
閉じていた眼を開く印象的な映像で終わります。
 
「Think different」で使われた「Crazy Ones」の日本語吹き替え版がYouTubeにありました。
http://www.youtube.com/watch?v=ZqNe9pDuAFU

日本語訳のナレーションは下記の通り、しびれるメッセージです。
ちなみに本家本元のナレーションは俳優の「リチャード・ドレイファス」です。
 

クレージーな人たちがいる
反逆者、厄介者と呼ばれる人たち
四角い穴に 丸い杭を打ちこむように
物事をまるで違う目で見る人たち

彼らは規則を嫌う 彼らは現状を肯定しない
彼らの言葉に心をうたれる人がいる
反対する人も 賞賛する人も けなす人もいる
しかし 彼らを無視することは誰もできない
なぜなら、彼らは物事を変えたからだ
彼らは人間を前進させた

彼らはクレージーと言われるが 私たちは天才だと思う
自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが 
本当に世界を変えているのだから



しかし、あえてブランディングの視点で考えると、
「Think different.」をベースにした次のステップがあるように思います。

違いの追求だけでは必ず同質化に陥り、不毛な競争の土壌となります。
 
次のステップでは、違いを「求められるもの」に変換する思想と技術が求められているように感じます。

スティーブ・ジョブズが、
2001年の「iPod」、2007年の「iPhone」、2010年の「iPad」で実現していったように………。