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2009年03月07日(土)更新

もしかしたら、戦略などいらないのかもしれない

こんにちは、クエストリーの櫻田です。

先日、久しぶりにお取引き先のあるお店を訪問しました。
お伺いするのは、実に4年ぶり(あまりほめられたことではありませんね)
現在は別の社員が担当していますが、
僕も一時期担当したことがあり、大変お世話になったお店です。

このお店は、ご夫婦お二人で運営されていたのですが、
2年前からお嬢さんが経営に参加されました。

今回の訪問の目的のひとつはこのお嬢さんにお会いすることでした。
お店とは20年以上に渡るお付き合いです。
僕が担当していた頃は、確かお嬢さんは小学校5年生。
実に20年ぶりにお会いすることになります。

オープンと同時にお店に入りますと、
お嬢さんがお店で掃除をしていました。
20年ぶりにお会いしたのですが、まったく違和感なし。
素敵な笑顔で迎えてくれました。予想通りの素敵な女性でした。

このお店の経営者であるご夫婦には、
ちょっと信じられないくらいの熱烈なファンがいます。

その中に入っていくのは、正直大変だろうなあと思っていたのですが、
お会いした瞬間にこのお嬢さんならば大丈夫と思いました。 
何よりも明るさが素晴らしい。

社長様と2時間、あれこれとお話しをさせていただきました。
創業時のこと、訪問された海外の話題、趣味のカメラのお話、
ウォーキングのこと、お父様のこと、疎開した岩手のこと………
話題は尽きませんね。実に楽しいひとときでした。

世間では、急速な景気の悪化、100年ぶりの危機、リストラ、倒産……
暗い話題でいっぱいですが、このお店に関してはまったく関係なし、
その日も、朝からお客様が途切れることがありません。

お店に行きますと、仕事柄、
どうしても繁盛の要素やブランディングのポイントを探ろうとするのですが、
このお店はテクニックや方法論を超えています。

経営戦略や顧客満足の仕組みという言葉がまったく意味をなしません。
お客様に喜んでいただく、このひとことの積み重ねです

3日のお雛祭りの日、東京は雪が降りました。
その日のことをこんな風に語ってくれました。
“雪の日に遠くからわざわざお越しいただいた方がいたんですよ。
ちょうど、お店の雛祭りの飾りを片づけていたんですが、うれしくてね、
この方に思わずそれをプレゼントしたんです。”

もしかしたら、僕たちは商売を勘違いしているのかもしれない。
充分気をつけているつもりでも、
当たり前のことをちょっと小難しい理屈や特別っぽい方法論に
置き換えて語ることがないだろうか?

誤解を恐れずにいうと、中途半端な戦略や仕組みなどはいらないのかもしれない。

ただひたすらに目の前のお客様に喜んでいただくことを考え、実行する。
このことがご商売の原点であることは、誰もがわかっているけれども、
それを一途に、愚直に実践しているところは実は極めて少ない。
しかも、それを自分たちの楽しみとしてやっているところはもっと少ない。

気持ちのなかに溜まっていたもやもやが、洗い流されたような一日でした。


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