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2012年03月13日(火)更新

「同質化経営」と「独自化経営」

「人々が幸せになるブランドをプロデュースする」クエストリーの櫻田です。

3月12日に、(株)C&I Holdings(旧商号:ベンチャー・リンク)が東京地裁へ民事再生法の適用を申請しました。

同社は1981年に設立された経営情報提供とフランチャイズ(FC)開発支援企業として、
全国的なFCブランドをいくつも立ち上げてきた企業です。

その経営手法は、全国各地の新しい業態を発掘して、FCブランドにパッケージングし、
FC本部に出資する一方、FC加盟店の勧誘・指導・育成を行うというものです。

しかし、このFCブランドのパッケージングと言う手法は明らかに時代とのギャップを起しているように思います。

先日の「第25回ブランディングセミナー」で、中小企業の経営課題は、
構造的な不況、東日本大震災や原発の影響も確かにあるが、
最大の課題は「同質化競争」の渦の中に巻き込まれていることと述べました。

ベンチャー・リンクの破綻でもそのことを感じるのです。

「同質化経営」の原動力は売上や利益やシェアといった数字です。
数字は経営の重要な要素ですが、それに振り回されることは経営の目的ではありません。
「同質化経営」は、お金が中心軸にして回っている経営であり、最終的には会社や個人だけの幸せの追求です。

先ほどのFCブランドのパッケージ化ビジネスにも、この「同質化経営」の匂いを強く感じてしまうのです。

経営を単純な2元論で論じるのは20世紀型ですが、わかりやすくするためにあえて述べます。

「同質化経営」の対極にあるのは「独自化経営」です。

「独自化経営」の軸は、規模は小さくても、他がどうであろうとも、
自分の店でしか実現出来ない価値を追求し、存在感を高めることに力を注ぐことです。

そこにあるのは、喜びや楽しさがみんなの幸せにつながると言うポリシーです。

「独自化経営」はこれまでニッチで経営規模が小さいと思われてきました。
しかし、生活者の価値観や経営の在り方が大きく変わったいま、
「独自化」を軸に多くの支持を得ている中小企業が世の中にはたくさん存在します。

その鍵は「ブランディング」にあります。

しかも、それらの「独自化経営」の中小企業は水面下で緩やかにつながり、
コラボレーションやコミュニケーションにより、新たなブランドを次々と生み出しています。

時代の大きな潮目を感じずにはいられませんね。