大きくする 標準 小さくする

2012年11月03日(土)更新

「サッチモ」の笑顔の裏にある悲しみ

「人々が幸せになるブランド」をプロデュースするクエストリーの櫻田です。
 
ジャズトランペッターでジャズヴォーカリストの「サッチモ」こと
「ルイ・アームストロング」の人気は根強いですね。





いまでも「この素晴らしき世界(What a Wonderful World)」などはCMにも使われていますね。
 
ちなみに、「サッチモ」という愛称は「satchel mouth」(がま口のような口)というのを
イギリス人記者が聞き違えたとする説や、
「Such a mouth!」(なんて口だ!)から来たとする説などがあるようです。
 
人気の背景には、高い演奏技術もさることながら、
「サッチモ」という愛称がそうであるように、
独特の明るいキャラクター性と人を温かい気持ちにする雰囲気が
彼に備えわっていたからだと思います。
 
実は個人的には、「サッチモ」のにかっとした底抜けな明るい笑顔に
「どうしてそこまで笑うのか」という媚びのようなものを感じなくもありませんでした。

ジャズメンではなく芸人の顔のような印象さえ持っていました。
 
しかし、最近その笑顔は並みの笑顔ではないなあと思うようになりました。
「サッチモ」の笑顔の裏側にはいいようもない悲しみがあったのだと思います。

本当の笑顔は悲しみを知らなければ生まれません。




 
彼が生まれ育ったのは、ニューオーリンズのアフリカ系アメリカ人が多く住む貧しい居住区でした。
母親は売春婦として働いていたといいます。当然、父親は誰なのかはわかりません。
 
母親は愛情いっぱいに彼を育てましたが、貧しい環境のなかで、
悪い連中との付き合いが始まります。
そして、拳銃の発砲事件で「サッチモ」は少年院に送られてしまいます。
 
ところがこの少年院のブラスバンドで「サッチモ」は
コルネットと出会い、演奏する楽しさに目覚めたのです。

音楽が彼を変えたといってもいいでしょう。
ジャズと出会わなければ、彼の人生はどうなっていたんでしょうね。
 
しかし、人気を得てからもサッチモの悲しみは続きます。
それは人種差別です。

公演先では白人とは同じホテルに泊まれなかったり、
劇場の入口も別々というような数々の人種差別も受けています。
人種差別に抗議して、公演をボイコットしたこともありました。
 
有名な「この素晴らしき世界(What a Wonderful World)」は、
1960年代、アメリカがベトナム戦争の泥沼にはまりこみ、
先の見えない閉塞感に全米が覆われていた時代にヒットしました。



 

この曲の歌詞を読むと
「木の緑やバラの花、青い空や白い雪、はじめましての言葉や友人との握手、」など、
「日常の見慣れた生活の中に小さな感動が満ちあふれているよ」という内容です。
 
サッチモが歌う「この素晴らしき世界(What a Wonderful World)は、
世の中が疲弊している時代に、「よく見てごらんよ、世界は素晴らしいじゃないか!」と訴えたのです。

日本の経営環境はこれからも厳しいことは間違いありません。
とくに中小企業にとっては相当の向かい風が続いています。
「もういいかあ」と諦めたくなる時もありますよね。

でもね、「ルイ・アームストロング」はこんな素敵な言葉を残してくれています。
 
「途中であきらめちゃいけない。
途中で諦めてしまったら得るものよりも失うものの方がずっと多くなってしまう。」