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2009年02月27日(金)更新

20年前の「BLUE NOTE」のTシャツ

ニューヨークのジャズクラブ「BLUE NOTE」のTシャツを1枚持っています。
20年前に手に入れましたが、一度も袖を通したことがありません。

ブルーノートのTシャツ

1989年12月、僕はニューヨークのジャズクラブ「BLUE NOTE」にいました。
NADIというビジュアルマーチャンダイジングショーの視察でしたが、
半分は、ジャズを聴きに行くことが目的の一つでした。

当時、日本はバブルの最盛期でしたが、
アメリカはリセッション(景気後退)に入っていました。
クリスマス商戦不振のニュースがテレビで報道されていたことを覚えています。
ちなみにその時の大統領はブッシュ(父)さんでした。

その夜の「BLUE NOTE」の出演者は
フレディ・ハワードというトランペッターの予定でしたが、急遽変更となり、
ヴィブラフォン奏者のミルト・ジャクソンが出演することになりました。

ミルト・ジャクソンといえば、モダンジャズカルテット(MJQ)のメンバーの一人、
当時の年齢は66歳、MJQはすでに解散していましたが、
まさに伝説のジャズプレイヤーです。

その演奏を目の前で聞けるとは、何という幸運。

その夜、汗が飛んでくるような距離で、ソウルフルな演奏を聴き、
とことん酔いしれたことは言うまでもありません。

ライブが終了しても興奮冷めやらない僕は
「BLUE NOTE」のスタッフに話しかけました。
「ミルト・ジャクソンのサインが欲しい」(もちろん片言の英語で)

すると、スタッフは面倒臭そうに一言……
「勝手に楽屋に行けよ、ただしTシャツを買っていくのを忘れるな」
(たぶんそんな感じの英語でした)

楽屋のドアをノックすると、中からしゃがれた声で返事が……
恐る恐る開けると、ミルト・ジャクソンが汗を拭いているではないですか。

Tシャツを出して、僕はただ一言
「サイン プリーズ フロム ジャパン」

近くにいたスタッフがサインペンをミルト・ジャクソンに渡すと
「フワッチャ ネーム」

おおっ、名前を入れてくれるんだ
「ヒロ、マイ ネームイズ Hiro」
(どういうわけか長いと悪いと思ったので、短くして伝えました)

というわけで、このTシャツにはミルト・ジャクソンのサインが入っているのです。

ミルト・ジャクソン

こうなると、もうこれは単なるTシャツではありません。
僕にとっては、ミルト・ジャクソンとの大事な思い出の品です。

商品のジャンルが完全に変わってしまっているのです。

あなたが扱っている売れ行きの悪い商品をよく見てください。
商品のジャンルを変えることによって(これをローリングと呼んでいます)
ワクワクするような新しい価値を生み出すことが出来るのです。
それが新しい消費を創り出します。

ミルト・ジャクソンのサインの話が長くなりましたが、これが言いたかったのです。

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